この国の不寛容の果てに: 相模原事件と私たちの時代 [Kindle]

著者 :
  • 大月書店
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感想・レビュー・書評

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  • もやもやしたものを、言葉に対話にしてくれていて、読んでひざうつ。
    特に、神戸さんの対談がよかった。すごくよかった。

  • ふむ

  • 相模原の介護ホーム?で起きた殺人事件で顕在化した不寛容になってしまった世の中について,対談形式で加害者の考え・背景を考えたり,より寛容な世の中をつくっていくためのヒントを探そうとするような本.

    至るところで過激な話が散見される昨今,お互いに息苦しくない世の中にしていくためのヒントがあるんじゃないかな.他の人にも読んで欲しい.

  • この対談集が上手いなぁと思うのは、現場に身を置く方を複数、相手に選んでいることだろう。それにより、ありがちな空疎な感じが薄らいでいるんだね。

  •  2016年7月26日に相模原市の障害者福祉施設やまゆり園に元職員の植松聖が侵入し、重度障害者19名が殺害され、入所者と職員計26名が重軽傷を負った。逮捕後に植松は、意思疎通のできない重度障害者は生かしておいても意味がない、税金の無駄だといった趣旨の発言を繰り返した。

     彼の主張は典型的な優生思想だが、ネット上では賛同するような意見も少なからず認められた。近い時期には複数の政治家からも優生思想に通じる発言がなされた。少し前までたとえ思っていても公言できなかったような主張がじわじわと広がっている様子が感じられる。

     植松はなぜそのような思想に至ったか、なぜ世の中でも同様な思想が広がりつつあるのか。障害者福祉や貧困などの社会問題に取り組む6人と、右翼活動家から左派系論者に転向したという変わった経歴を持つ著者が対談で考察する。

     論じられるポイントは多数あるが、過去に起きた似たような事件と大きく違う点は、植松の思想形成にネットの影響が認められる点だろう。植松自身の経歴は悲しいものではあるが、抑圧を受けたり虐げられていたというわけではなく、うだつが上がらない生活の中でネット論客の話を鵜呑みにして妄想を膨らませたというところではないだろうか。

     こういう人物が出てくる可能性は今どんどん増えているように思う。2020年の新型コロナとアメリカ大統領選挙に関してネットから湧いてきた陰謀論の数々とそれを本気で信じている人たちの存在は、またいつか同じことが起こりそうな不安を感じさせる。

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著者プロフィール

1975 年北海道生まれ。作家・活動家。「反貧困ネットワーク」世話人。フリーターなどを経て2000 年、『生き地獄天国』( 太田出版/ちくま文庫) でデビュー。主な著書に『生きさせろ! 難民化する若者たち』( 太田出版/ちくま文庫)、『相模原事件・裁判傍聴記 「役に立ちたい」と「障害者ヘイト」のあいだ』( 太田出版)、『コロナ禍、貧困の記録 2020 年、この国の底が抜けた』( かもがわ出版) など多数。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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