ディア・ペイシェント 絆のカルテ (幻冬舎文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • モンスター・ペイシェントを巡る重苦しい展開の医療小説。理不尽な出来事がずっと続き、主人公が追い詰められていく展開なので、3/4位までは読むのがしんどかった。

    中山祐次郎氏の解説に、「本作品に出てくるクレーマー患者さんはまったく誇張ではない。まるで「小説のような」患者さんが頻繁に来院する」とある。モンスター・ペイシェントの横行は現実の出来事なんだ。いわゆる権威が地に落ちた感のある昨今。父親しかり、教師しかり、役所しかり、そして医師もその例外ではないよ、ということかな。

    しかも、過酷な労働になんとか耐えている医師達の心を折ってしまう佐々井記念病院の行き過ぎたお客様第1主義。果たして、こんな病院実在するのかな。仮に実在するとして、こんな酷い職場でメンタル病まずに済む人いるんだろうか?

    金田医師のセリフ、「上から目線の患者ばっかりだ。『どう治すつもりなんだ』『インターネットにはこう書いてあったが違うじゃないか』って。ネットで正しく自分の病状を判断できると思っているのかね? あなたの場合はここが違うと説明しても納得しない。結果が悪ければ、『だから医者なんて信用できない』と訴える」。これが医師の本音なんだろうな。

    医療現場の過酷な労働環境については「神様のカルテ」などにもさんざん描かれていて、ブラックな職場だということは知っていたが、本作で改めて荒んだ医療現場の姿を突き付けられると、ホント気が滅入る。何故改善できないのかな。"働き方改革" って言葉が虚しい。

    著者の作品はこれで3作目だが、いずれの作品も主人公は真面目で実直、融通の効かない世渡り下手の女医だ。著者自信の姿なんだろうか?

  • モンスターペイシェント(患者)の対応を全て医師におしつける病院の対応にイライラして、読んでいてきつかった。自分の命や生活がかかっている患者が過剰な期待をして、裏切られた気持ちになるのはわかる、それが客観的に理不尽な要求だったとしても。だからこそ病院の運営側が間に立つべきだ。

  • この作者の2作品目。以前のが面白いと思ったら購入したけど、ちょっとこれはダメだった。出来事がてんこ盛り。詰め込み過ぎ。あと、あれだけモンスターな患者がいたら、事件扱いでしょ。特に頭を足で踏みつけられるなんて、速攻警察呼ばないと。
    陽子先生が亡くなった事象も、法の網を抜けるところをよく考えたなと感心はするけど、普通訴えられても医師だけじゃなくて病院も相手なのでは?病院所属の医者なのに、個人で損害賠償とか、組織ってなんなの?と思う。そこはおかしい。無理くりすぎ。それから陽子先生が亡くなった理由を弁護士から千晶も聞けるのは、変だよね。旦那さんもだいぶ離れて生活していて、そんなに陽子先生とお話しする時間もなかったのでは?3年しか一緒にいなかったみたいし。そして陽子先生が亡くなって、金田先生が刺されて、内科の先生は千晶1人になったというのに、お母さんが亡くなって1週間忌引きって可能なの?あとさ、あの警備員は都合良すぎでしょ。ちょっとこの人の小説はしばらくいいや。
    後で映画になったと知った。世間ではいい小説の扱いなんだろうなあ。なんだかな。

  • 「サイレント・ブレス」に感動しまくって、もっとこの作者さんの本を読みたい!と思い、図書室で借りてきたんだけど……

    思ってたのと全然違う本だった……

    「サイレント・ブレス」は死について考えさせられる話だったけど、「ディア・ペイシェント」は、お医者さんの壮絶な苦労の話。

    かなり怖くって、途中でもう読むのやめようかと思ったほどでした。

    しかも、別のお医者さんが書いてるあとがきで、

    "同業者として医者目線で読むと、そのあまりのリアルさに日々の診療を思い出すのだ。"

    "本作品に出てくるクレーマー患者はまったく誇張ではない。"

    と書かれていて…ええぇー!!!まじか、、、怖すぎるよ。

    私は医者ではないし、身内や知り合いに医者もいないから、完全に患者の立場ですが、あんまりお医者様に迷惑かけないようにしよう、と思いました、、、。

  • しかしまぁ,本当に気が狂ってるとしか思えない馬鹿な患者が多いんだなぁ。他人事ながら腹立たしい。こういうバカのやったことのしわ寄せを,まともな人間が食らうのだから,他人事ではないな。そして回り回って本人にも返ってくるのだ。結局自分で自分の首を絞めていることに気づかないのだから,本当に愚かだ。医者と患者は信頼関係で結びつくしかない。どちらも相手から理不尽な扱いを受けてよいはずがない。それにしても勤務医の労働環境は酷い。意識の高い人ほどドツボにはまるような状況ではいずれ日本の医療は崩壊する。

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  • 経営第一な病院のシステムや、モンスター患者、実家の問題に悩み闘う女医さんのお話。
    今では3K以上に過酷な職場。尊敬します。

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著者プロフィール

1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入。卒業後、慶応大学病院老年内科などで勤務したのち、スイスへ転居。スイス医療福祉互助会顧問医などを務める。帰国後、都内の高齢者向け病院に内科医として勤務するかたわら『サイレント・ブレス』で作家デビュー。『いのちの停車場』は吉永小百合主演で映画化され話題となった。他の著書に『ヴァイタル・サイン』『ディア・ペイシェント』などがある。


「2022年 『アルツ村』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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