銀河鉄道の父 (講談社文庫) [Kindle]

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  • かの有名な宮沢賢治の父をモデルとした小説。

    序盤から心を鷲掴みにされる。
    第一子として産まれた賢治に、デレデレとしたい所を
    父の威厳とやらを保つために、そっけない態度を取ってしまう父の政次郎。

    まさに現代のツンデレではないか。
    賢治への溢れんばかりの愛を隠しきれず、
    ダダ漏れしている父親。

    賢治が学校へ通い、友達と遊びに行くことが多くなった時期の政次郎のぼやきを抜粋。

    『親にとってはどんな友達も、わが子を横取りする人さらいのように見えるものだ。』

    言いたい事は物凄く分かる。共感の嵐。
    しかし、「人さらい」とは何とも物々しい。笑

    賢治が自分の進むべき道を見失い、
    ひたすらスネをかじり金の無心をしようとも、
    何だかんだと言いながら金を出し続けてしまう政次郎。

    対立することがあったとしても一貫して子供への愛は変わらない。
    こうやって宮沢賢治はつくられてきたのだな、と妙に納得。

    私の母の影響で、小さな頃から宮沢作品に慣れ親しんできたけれど、
    こんなにも生々しい「息子」としての彼は
    本書を読まなければ知り得なかっただろうな。

    「雨ニモマケズ」が作られた背景を知り、しばらく呆然としてしまった。鳥肌ものだ。

    読了後、興奮冷めやらぬまま母に連絡し、本書を差し出した。
    手元に戻ってきたら再読しよう。

    今年読んだ本の中でも上位に入るお気に入りの1冊となった。

  • 宮沢賢治のお父さんからみた宮沢賢治
    印象がアメニモマケズのイメージだったのでこんなにもいい意味でも悪い意味でも人間っぽいなんてびっくり。最後は泣いて読了。久しぶりに銀河鉄道の夜を読みたくなった。

  • 「……おらは、お父さんになりたかったのす」(宮沢賢治)

    宮沢賢治の父・政次郎が主人公。

    長男の賢治に対して過保護な政次郎。
    賢治も父に甘えてるし、なんだかなと思いながら中盤まで読んだが後半圧倒されたし感涙した。

    偉大な父親というものを見た。

  • ★4.7
    賢治には、中学生の時に、今は亡き松本零士氏の萬画銀河鉄道999とヤマビコ13号が、賢治にインスパイアされれて出来たものかたりであることを知り、銀河鉄道の夜から、沼にハマったいまだに抜け出せずに居る。もう40年を超える。
    ここ数年の様々な、作品や、賢治を扱うドキュメントなどで、彼の真の姿を徐々に浮き彫りにされるなか、賢治のカンパネルラは、誰なのか問題など、いろいろわかってきていささかショックを受けたこともなくはないのだが、そんな賢治の父目線のこのものかたり、天才の手綱をとる父の苦悩や、賢治の子供の頃のエピソードなど、胸も熱くなる様々な事柄に感動しつつ泣きました。
    映画は観ていないですが、小説だけでも充分に楽しめるものかたりです。

  • 宮沢賢治の生涯を、父の視点から描いた作品

    こんなに愛されていたんだ、
    と感激しました。

    だから、宮沢賢治の作品には
    愛がいっぱいなんだと思います。

  • すごい素敵なお父さんだった。父になることも悪くないと思わせてくれる。宮沢賢治読んだことないけど読んでみたくなった。フィクションとノンフィクションの境目が知りたい。

  • 宮沢賢治の名前や作品がフォーカスさるのかと思ったら、全然違った。
    父と子の不器用でいて繊細で、底知れない愛情を豊かに描いた物語でした。
    賢治はきっと、死に様ではなく生き様を見せたかったんだろうな。

  • 宮沢賢治の父の視点での物語。
    賢治のダメ息子っぷりに父親は振り回されます。おい、息子よ、いい加減にしろよと何度も思います。
    父、正次郎は厳格な父でなければならないと思いながらも、息子のことを想い過ぎる優しさを持っています。病気になれば自分の健康を顧みず看病し、ワガママや金の無心には苦悩しながらも手を差し伸べ、自分が考えるのとは違う道を選んだとしても最終的には応援してやります。
    賢治の視点で見れば正次郎は立ちふさがる壁だったかもしれませんが、正次郎から注がれる愛情はものすごく深く、この父がいたからこそ宮沢賢治なんだろうなと思います。

    現代は仕事に忙しく子どもと向き合えていない父親も多いと思うので、そのまま当てはめることは難しいけど、共感する部分は多いと思います。父親をやっている方に見てほしい本だなと思います。

  • 父親の視点から描いた宮沢賢治の生涯である。
    父は、息子が立派な大人になることへの強い期待と息子を想う愛情を併せ持ち、終始、不器用に賢治に接する。
     子供の頃に賢治が病気になった際に、父が看病する様子が印象的だった。普段は甘やすことが許されない父親が体面を気にせず、愛情を注ぐことができ、とても微笑ましかった。

    親の資金援助をあてにして飴工場を作りたいと言ったり、人造宝石を作ると言ったり、世間知らずのお坊ちゃんらしい様子が、当初のイメージと異なり驚いた。

  • これはいい

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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。近著に『ロミオとジュリエットと三人の魔女』『信長、鉄砲で君臨する』『江戸一新』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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