たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説 〈昭和ミステリ〉シリーズ [Kindle]

著者 :
  • 東京創元社
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感想・レビュー・書評

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  • このミス2021年版1位。終戦直後の名古屋の高校生の課外活動中に発生する連続殺人事件。前半はほぼほぼ高校生たちの恋愛感情を中心とした青春小説。その部分がとても面白く密室殺人も発生するのだけど、話しの中心はそっちでありそればタイトルとも関連してるのかなとか思った。
    引き続きバラバラ殺人事件も発生し、探偵も登場するので本格推理小説っぽくなってくる。
    事件の背景が明らかになり、タイトルの意味も明らかになってくる。
    この本は作者が90歳になってから書いたものらしくこれはビックリ。高校生の心の動きがとてもリアルです。自分もまだまだがんばらねば。

  • 昭和24年の推理小説。素晴らしかった…。1932年生まれで終戦直後の時代に青春時代を送った作者だから書ける小説なんだと思う。

    最後泣いてしまった。素晴らしい小説だった。良いものを読んだ。

    犯人は割と早い段階から目星をつけられるけど、突然男女共学を強いられて混乱する教育現場だとか、主人公の悲しい失恋や、適応して青春を満喫する主人公の友人や、適応できない学生からの妙な嫌がらせの発生する学園祭や、ミステリを完成させようとする主人公の頑張りや…そういう青春小説みたいなところだとかに惹かれて夢中で読んだ。

    『たかが殺人じゃないか』タイトルと、最後のオチもすごくよかった。

  • 昭和24年、終戦から4年後の名古屋が舞台。昭和12年を舞台とした『深夜の博覧会』のシリーズとしては続編だが、直接の関係はほとんどない。復興半ばで、まだ不自由なことも多い時代。進駐軍の命令でいきなり男女共学が導入され、高校3年生だけを一緒に過ごすことになった主人公たち。夏休みの旅行先で遭遇した密室殺人。戦争で人生を変えられた若者もいれば、いまだに戦後に対応できない大人たちもいる。前作と共通する登場人物もいるので、もう一度読み直したい気もするが、すでに昭和36年の物語も出ているので、そちらも早く読みたい。

  • 読む事にフォーカスできなかったですね
    最後でドンとオチる作品のようですが。。。最後まで到達せずに読了という感じでした

  • 戦後新制高校のはじめて三年で初めて男女共学になった!映研と推研が夏休みの修学旅行代わりの旅、密室殺人事件が、戦後の米軍人向け慰安所や軍国主義を主張していたのに戦後も上手く立ち回っている人が日本が負けたことを認めないで、非難した少女を殺していた。戦後ならではの話だった!

  • 「このミス1位」、「史上最年長89歳での受賞作品」ということで大変興味をもって読みはじめた作品。
    でも、申し訳ないけれど私には冗長な部分が多々感じられて飛ばし読みになってしまった。
    きっと作者さんにとっては私が冗長に感じた部分も「書いておかねばならない」大切な部分だったのだと思う。そういう部分では主要人物の一人”くーにゃん”が高校生でありながら”パンパンだった”という描写に、当時のリアルを肌で感じた。戦後の売春婦=パンパンという見下した響きしか残っていない言葉がこの小説のなかでは血が通って呼吸している一人の少女になった。このシーンはなかなか考えさせられるものがある。
    おそらくそういう部分が多分にある小説なんだと思う。そしてそういう部分がこの小説の持つ価値なんだと思う。が、いかんせん、小説内で起こる殺人事件から引き離される描写が多く、この世界に没頭しきるとこができなかったのが残念。


    ====データベース====
    【ミステリランキング3冠!】
    *第1位『このミステリーがすごい! 2021年版』国内編
    *第1位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 国内部門
    *第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 国内篇

    一年だけの高校生活。
    夏休み中に遭遇した不可能殺人。
    17歳の少年と那珂一兵が解き明かす、哀しき真実!

    この時代を経験したからこそ描けた、
    “ミステリ界のレジェンド”が贈る、圧巻の青春ミステリ

    昭和24年、ミステリ作家を目指しているカツ丼こと風早勝利は、名古屋市内の新制高校3年生になった。旧制中学卒業後の、たった一年だけの男女共学の高校生活。そんな中、顧問の勧めで勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒5名で湯谷温泉へ、修学旅行代わりの小旅行だった──。そこで巻き込まれた密室殺人事件。さらに夏休み最終日の夜、キティ台風が襲来する中で起きた廃墟での首切り殺人事件! 二つの不可解な事件に遭遇した勝利たちは果たして……。著者自らが経験した戦後日本の混乱期と、青春の日々をみずみずしく描き出す。『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』に続く、“昭和ミステリ”第2弾。

  • あぁそういういことか!と最後の最後に頭を叩かれる。
    舞台が愛知県なのも親近感があってよかったです。
    それにしても辻先生は、御年89歳!すごいッス。

  • 89歳にして制作意欲衰えず、いまだ現役、それも自分の青春時代の戦後名古屋を舞台に密室殺人事件。好みの作品ではないが、これで「このミステリーがすごい!」で堂々1位なんてこった。

  • 昭和24年、ミステリ作家を目指している風早勝利は、名古屋市内の新制高校3年生になった。そして暑い夏休みの最中、2つの不可解な事件に遭遇し…。17歳の少年と那珂一兵が解き明かす、哀しき真実とは。

    2020年末の「このミス」「文春ミステリ」でともに第1位だった作品。昭和24年がよく描かれているし、タイトルの意味もよくわかった。ただトリックが陳腐でミステリとしての魅力は感じなかった。御年88歳の超ベテラン作者に敬意を表しての1位だったのでしょうか?
    (Ⅽ)

  • お勧め度:☆6個(満点10個)「このミステリーがすごい」第1位の作品ではあるが実に読みづらい。時代背景として戦後まもなくという事もあるけど、文体自体がちょっといびつ。登場人物が名字で呼ばれたり、あだ名で呼ばれたり、名前で呼ばれたりで統一されてないから誰が誰だか解らなくなる。その点が一番の原因だ。それに密室殺人と解体殺人がメインなのに、何か青春ミステリみたいな展開で、解決はラストでという展開は途中で投げ出したくなる。あまりにも余計な情景が多すぎる気がする。シリーズ3部作みたいだけど、前作もこんなんだろうか?

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著者プロフィール

1932年、名古屋市生まれ。名古屋大学文学部卒業後、NHKに入社。テレビ初期のディレクター、プロデューサーをつとめたのち、脚本家に転身。『鉄腕アトム』、『エイトマン』、『ジャングル大帝』、『サザエさん』、『巨人の星』、『デビルマン』など、1500本超のアニメ脚本を執筆した。また、推理小説作家としても活躍しており、『仮題・中学殺人事件』、『迷犬ルパンの名推理』、『あじあ号、吼えろ!』、『完全恋愛』(牧薩次名義)など多数の著作がある。現在、デジタルハリウッド大学教授。国際アニメ研究所所長。本格ミステリ作家クラブ会長。

「2009年 『『鉄腕アトム』から『電脳コイル』へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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