いのちの停車場 (幻冬舎単行本) [Kindle]

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  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • Twitterでヤンデル先生こと市原真氏がおすすめされていたので気になって図書館で予約した本。話題になっていたことも知らず,予約がたくさん入っていて5ヶ月ほど待った。

    これは医療をテーマにした小説。舞台が石川県金沢市。
    ご本人は金沢にゆかりはないようだけど、犀川や浅野川や金沢の街並みの描写がそのまんまで、学生時代を金沢で過ごした私にはそれだけで引き込まれる内容だった。


    主人公は62歳で都内の大学病院の救急救命センターで働く医師、咲和子。
    ちょっとした事件で大学を辞し、故郷の金沢に帰ってきたらひょんなことから在宅診療をすることになって、というストーリー。


    在宅診療を担当する中で出会う患者や家族、診療所のスタッフたちとの関わり、そして年老いた父親をいかに看取るかということまで描かれていて時間を忘れて読みました。返却期限を気にしつつ。

    老老介護の問題あり、セルフネグレクトの老女と娘との関係、脊髄損傷となったが先進医療を望む若社長、末期がんに冒された官僚の選択。小児がんで余命いくばくも無い6歳の少女。。。そして佐和子の実父のこと。

    診療所のスタッフそれぞれが抱える問題も描きながら物語は進む。
    背景として描かれる金沢の風景が鮮やかに脳裏に浮かぶ。

    最後は積極的安楽死の問題まで出てきて、読者に投げかけて終了。「えっ、ここで終わる⁉︎」
    そのうちもう一度読み直してみたい。そのときは電子書籍かな。


    ちなみにこの本を原作にした同タイトルの映画が今年公開されるそうだ。

    映画「いのちの停車場」公式サイト
    世代を超えた豪華キャストで織りなす、感涙のヒューマン医療ドラマ誕生。2021年ロードショー。
    teisha-ba.jp

    そして作家の南さんは現役の医師だそうで、老年医学を専門にされていると知り、合点がいった。他の本もぜひ読んでみたい。

  • 老いについて、在宅医療について、
    知らなかったことを、
    そうなのか、そうだったのか…と
    いう想いでページをめくる。
    重いテーマなのに、すらすらと読めてしまうのは
    登場人物一人一人が、深く優しい魅力的な人間性を持つ
    安心さから来るものと思われた。

    自分にこれからの生き方、命についても
    考えさせられた。
    読めたことに感謝したくなる一冊。

  • 目的 フィクションを読みたいと思ったため

    感想 医療の現場の様子が詳細に書かれており、終焉の医療行為について学ぶことができた。タイトルが絶妙、医療は人生最後の停車場。

    自分の行動 人生の終わりの医療について具体的に考えたい

  • フィクションだけれど、ノンフィクション的な、人の生と死について、訪問医が考える物語。
    医療現場として正確で現実的なのかもしれないけれど、エンターテイメントとして、生と死を扱った医者の物語としては『最後の医者は雨上がりの空に君を願う』の方が面白かった。

  • 在宅医療、なんて様々な生きざまがあるんだろう。個によりそう、の大変さと尊さをあらためて感じた。

    友人に在宅医療現場の看護師がいる。彼女は天職を見つけたと言っていた。
    知れば知るほどその意味と彼女を知っていく気がする。
    夜中起こされ呼び出されることに文句をひとことも言わない。電話にでる瞬間に、誰かを支える使命を帯びた姿をしている。

    数年前に訪れたなぎさドライブウェイが
    こんな形で登場するとは思っておらず。
    少し日の傾いた午後の穏やかな海だった、あの日も。
    人魚姫にとっても幸せな1日になって
    本当によかった。
    涙なしには読めなかった。

    父をおくりだすシーンの苦しさは
    はかれない。
    読む側も、時間かけて読まないと本に、著者に
    失礼だの感じている。
    感想もするすると出てこない。
    悔いのない最期を父娘が選択し実行できたこと、
    よかったと思う。

    私は、いのちを扱う重さに耐えられないだろう。
    主人公と同じく。だから
    まわりの仲間や家族を頼り頼られて
    自分自身が選んだ生の停車場に向かっていきたいな。

  • 最期くらい自分の好きにさせてよ、だな。周囲の理解が必要ではあるけれど。

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著者プロフィール

1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入。卒業後、慶応大学病院老年内科などで勤務したのち、スイスへ転居。スイス医療福祉互助会顧問医などを務める。帰国後、都内の高齢者向け病院に内科医として勤務するかたわら『サイレント・ブレス』で作家デビュー。『いのちの停車場』は吉永小百合主演で映画化され話題となった。他の著書に『ヴァイタル・サイン』『ディア・ペイシェント』などがある。


「2022年 『アルツ村』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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