鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 森林総合研究所研究員で鳥類研究者の著者が、鳥類研究のあれこれを面白おかしく書き下ろしたエッセー。

    舌鋒鋭いジョーク満載で脱線しまくり。漫画・アニメや実写ヒーローもの、SF映画、駄菓子に至るまで雑学を駆使してジョークを連発している。鳥類研究のこと(真面目な内容の部分)より、秀逸なジョークが印象に残るエッセーだった。

    著者、ドラえもんとルパン三世がお気に入りなのかな。「生物多様性基本法を読まずに多様性を語るのは、ルパン三世を読まずに銀行強盗をするようなものである」とまで言ってる。あとガンダムも(シャーの赤いモビルスーツの謎についてえらい長く語っていたし)。

    「柔道なら黒帯、会社なら部長補佐、駄菓子屋ならベビースターラーメン級の外来生物だ。日本の鳥類の多様性を脅かす存在は、月に代わってお仕置きしなくてはならない。」、「質問したい、訂正したい、コメントしたい。青い瞳の別嬪さんと仲良くなりたい。しかし、私の高度に発達した低会話力がそれを許さない。生来おしゃべりな私にとって、このストレスは大きい。しょうがなく薬屋を訪れて外国人になる薬を探す毎日を送るのだ。」などの文章、なかなかユーモラスでいけてると思った。

    鳥類研究での読みどころは、やはり、西之島などの離島探検かな。

  • Kindle Unlimitedにて読了。
    本著、何年か前に話題になったなーと思い、出版から5年越しで手に取ってみた(Kindleですが)次第です。

    本著、「合間の時間に楽しく読める大人の1冊」なのかなと思いました。
    語り口の軽妙さと、その中にどこか鬱屈としたユーモアが介在する様は、少し日中の緊張感を持ちながら、お酒が入る夜の感じというのでもなく。電車の移動時間とかに1編ずつ読んでいくのが素敵なんですかね。
    (私は夜にお酒を飲みつつ読ませていただきましたが…)
    こういった専門家による、入門書ではなく、敷居を下げた雑談に近い本が出るというのは、その業界を広めるにも、少し異分野を感じたい側にも、良いコトなのではないかと思います。

    個人的には、著者の生来のものか、フィールドワークの中で得たものなのかわかりませんが、目線が面白いなと感じたところがあり、興味深かったです。
    例えば、「時間は空間と同じく、生態系に存在する資源である。昼という時間は暖かく明るく質が高い資源であるため、競争率が高い」というくだりや、
    「野生の世界では効率の悪さが死に直結する」というくだり。

    しかし、あらためてどうにも野暮なツッコミではありますが、著者、やっぱり鳥のこと大好きでしょ、と思ってしまいます。
    研究分野に対して、それなりの愛情を感じる1冊でした。

  • 「好奇心があってもきっかけがなければ、興味の扉を開くどころか扉の存在に気付きもしない」とは著者の言葉だが、まさに好奇心で本書を読む原動力。サブカル知識をふんだんに駆使して軽妙に語られる本書は、内容の面白さを存分に補強して滅法面白いノンフィクション。鳥自体にはそんなに興味はないけれど、生態系の話は考えさせられる話題。どこに興味の扉を開くかは自由。著者が散りばめるサブカルの元ネタでもいいし、カールだっていい。中学1年生の息子にも読ませようかな、ちょっと難しいかもしれないが。

  • とってもおもしろかったです!
    タイトルからすると「俺は別に鳥なんか好きじゃないんだ……」みたいなことが書かれてるのかと思いましたが全然違いました。
    鳥って「飛べる」という1点において人間には絶対かなわないことだからとても興味深い。
    我が家には文鳥のモンちゃんがいるので、「飛べるっていいなあ、すごいなあ」と常々思っています。
    文章もとてもおもしろいし、書かれてる内容もおもしろくて最後まで楽しく読めました。
    私の大好きな「冒険者たち」がちょいちょい顔を出すのもまた良し。

  • 読む前に想像してた以上に軽かった。
    教養的豆知識からサブカルまでほぼ全編にわたって織り込まれており、軽快な文章のはずなのに正直疲れる。微妙なオヤジギャグを連発されている気分。
    鳥類学者という希少性を活かしたエッセイとして読むならまぁ楽しいと思う。
    鳥類学最前線的な純粋な知識を求めるなら他の本を読むほうがずっと有意義。
    本書にもそういう情報はもちろんあるが、とにかく薄い。公園の鳩軍団の中によく見ると白個体が紛れてる、そんな感覚。

  • 専門書というよりはエッセイ的な本なのに、ツッコミどころが多くて隙がない語彙力で紡がれる爆笑必須の新ジャンルエッセイ

    鳥に興味なくても読んでて爆笑間違い無しの1冊です

  • テーマ:鳥

  • NHKの番組で見たあの人は、こんなことを考えていたのか
    軽妙な文体は面白おかしく、難しい分野へのアプローチとしてハードルを下げてくれているのかと思いきや
    ヲタク気質な研究者が文章を書くとこうなるのか、と腹を抱えた
    南硫黄島の事も、西之島の事も興味津々だったはずなのに、読み終えて頭に残ったことは「鳥の糞は白くない」と言うこと
    ひとつ賢くなりました

  • (kindleunlimited利用)
    鳥類学者の姿を面白おかしく描くことによって興味を持ってもらおうとしているのだろう。たしかにそれほど興味のない私でもそれなりに面白く読めた。ただ続いて鳥類関係の本を読んだりしようとまでは行かなかった。年のせいということもあるかな、あとは若い人に任せる。この本を多くの若い人が読むのをきっかけに、興味を持つ人が増え、中で数人でも鳥類学を目指す人が出ればよいと思う。

  • 笑える

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著者プロフィール

森林総合研究所・島嶼性鳥類担当チーム長。西之島など離島の鳥類調査に従事。チーム名は自分で提案したのだが,「島」と「鳥」という字が似ていて時々混乱する。

「2023年 『羽毛恐竜完全ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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