アフターデジタル2 UXと自由 [Kindle]

著者 :
  • 日経BP
4.06
  • (39)
  • (40)
  • (27)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 392
感想 : 61
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (236ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【感想】
    『アフターデジタル』待望の続編。コロナ渦の中、前回よりも進んだ中国ビジネスに加え、日本ではどのようにUX(ユーザーエクスペリエンス)を考えていけばいいのか述べている。前著が発刊されてから間もなくして、変化があったことを多く知ることができる。とくに、スターバックスの改革に注目してほしい。日本の企業は今後どのようにしていけばいいか、それはDX(デジタルトランスフォーメーション)を基盤に物事を考え、失敗を恐れず、社内全体を巻き込みながら開拓するほかない。
    【アクションプラン】
    ・自身の職場で同じ考えを持つ人を探し、話す。
    ・年功序列の職場のため、上を巻き込んでどのように動かせるか考える。
    ・アプリを利用するときに、企業がどのように続けてもらいたいのかを発見する。ない場合は、その後のアプリを追い、変化を探す。

  • アフターデジタルの二作目、コロナ後の状況を踏まえたアップデートが含まれている。
    一作目はOMOとはなにか、特に中国での事例が面白かったが、本作はよりOMOの実践的な内容でかつ世界にも視野を広げた内容になっている。

    日本のデジタル戦略については、特区限定でやってはいけないことを決めるブラックリスト方式に変え、マイナンバーを口座情報や医療教育に紐付けられるようにすることがまず起点だと思った。如何に民間が動ける状態にするか。

    これからOMOビジネスを考えていく上で非常に参考になる本だった。そもそもデジタルから考え始めているところからしてずれている。どんな世界観で何を目指していくのか、その実現のためのUX設計において、オンライン・オフラインなくシームレスなデザインをしていくと自然とDXになるのであろう。

    以下内容


    ◯アフターデジタル1の復習とアップデート
    ・社会に還元して初めてデータを預けてくれる。
    ・スーパーアプリの要素は決済、移動、コミュニケーション。決済はトランザクションから与信に繋げている。
    ・フーマーは18年に2300億円まで行ったが、飽和したようで失速→意外と小さい、こんなもんか

    ◯インドのGaaS
    ・デジタルIDを発行し、口座開設や携帯ゲット、身分証明、医療や教育を受けられるように
    ・オープンAPIの仕組みを作りビジネスプレイヤーを巻き込んだ。

    ◯アメリカのD2C
    ・GAFAの台頭により、彼ら中間レイヤーを挟まない直販が伸びている。SNSで世界観を伝えられる。
    ・テクノロジーを駆使しつつも単なる製品販売から顧客との関係を構築し、バリュージャーニー型に転換している点は似ている
    ・睡眠の質を上げることを掲げたCasperの新しいマットレスの売り方は世界観を売っている

    ◯中国から学ぶ
    ・ECから始まったアリババとゲームが売上の多くを占め、全てをコミュニーケーション化するミッションを持つテンセントは目指すところが異なるため、同じようなサービスでも使い分けが起こる。例えば送金はテンセントだと受け取りが必要だが、ECから始まっているアリババにはない考え方
    ・課題解決から入るアリババは、当社売り手と買い手の信用が無い中で仲介することで信用を作った。そこから決済を取るために、金利7%でまず預けてもらうことを行い、使い道を作るために加盟店を増やす、そのためにバーコードリーダーを無料で配った。
    ・ゲーム的なテンセントは中国のお年玉で、wechatから送れる機能を実装、グループに投下すると、早いもの順にランダムでお年玉を受け取れるようにしたところ大盛り上がりした。
    ・NIOは700万する会員チケットに車がついてくるイメージ、充電はパックごと交換、旅先ではフル充電の車がお出迎え
    ・ズールーはアパートをシェアハウス化したときの支払いの問題を解決したり、+8%で管理清掃してくれるサービスの提供でペインポイントを解決し、さらに宿泊用に貸したり、自社物件のホテルサービスも展開することでユーザーの住環境を多面的にサポート、長期で継続する関係性を構築している。
    ・衆安保険は新時代の保険OEM、各社が飛行機遅延や偽物交換といったサービスを作りたいときにすぐに作れる。アリババ、テンセント平安保険の合弁。こういうプラットフォームもあり。
    ・デリバリーでラッキンコーヒーにやられたスタバだが、専用配達員を用意し、50円配達料が高いが、ですぐ届けるようにしたところ盛り返した。サードプレイスの定義をいつでもどこでもと捉え直したのではないか?利便性はコピー可能だが、ブランドは模倣できない。
    ・wechatの中のミニアプリという形で提供すると、アプローチできる範囲が広く、かつコストも安い。だからこそスーパーアプリの存在意義は大きい。

    ◯日本の遅れ
    ・やっていいことを決めるホワイトリスト方式が、やってはいけないことを決める中国、米国のブラックリスト方式に比べて圧倒的に遅い。
    ・国ごとの違いとして3点あり、中国の事情としては、上述の国家運営体制のほか、経済構造(14億人といつ巨大マーケット、年収100万でも生活が成り立つからこその人件費の安いデリバリー)、文化背景(外食文化、年末の習慣)などがある。
    ・アフターデジタルの産業構造は、決済プラットフォーマー-サービサー-メーカー

    ◯行動データのUX活用
    ・データはそれだけではお金にならない、ソリューション(解釈)とセットで初めてお金になる。
    ・直感的に見つかるお金になる活用先はマーケティング、広告への利用、信用度を測る、交通や医療といったインフラ構築の材料
    ・自社で取れるデータだけで十分な場合も多い、大事なのはエクスペリエンス×行動データのループで、データをUXに還元すること。
    ・アフターデジタルで提唱するDXとは、デジタルとリアルから得る膨大なデータを使い、体験提供をすることで新たな顧客との関係性を考える活動、UXの変革が中心。

    ◯日本の勝ち筋
    ・おもてなしの本質は、世界観を見せること by 星野さん。
    ・クリスプ・サラダワークスは繁盛する実店舗飲食店が多忙な点を問題視、本当に人が付加価値を埋めるコミュニケーションにフォーカスするためできるだけそれ以外をデジタル化した。結果売り上げが伸びプラットフォームとしてシステムの外販もしている。
    ・Amazonの置き配は、盗難とモラルハザードを実証で確認した上で実装しているが、まさにユーザー、配達員の利便性を向上させた画期的な取り組み。
    ・世界観が共有された対話型組織で一人一人が自走しなければスピードが遅すぎる。それには世界観を発信する努力が必要、googleのTGIF、トヨタイムズ、書籍記事、zoom生配信など


    ◯UX企画
    ・世界観を作る、ビジネスモデルより先。こうすれば世の中をよくできる、こんなライフスタイルが素敵だろうといった共感や参画を生む提案。会社の系譜にあっているか?
    ・データは時系列で分析する必要がある、変化に注目: シーケンス分析。この時データから短絡的に施策を打つのではなく、なぜそのような行動をしたのかという理由と状況を考えて想像することが大事。集団として捉えていては見えてこない
    ・データに基づいてユーザーの状況を把握し対応する組織力が必要
    ・サービスビジネスでは、通常の期間損益の見方ではなく、顧客獲得コストをどのように売上で回収できているかというユニットエコノミクスが重要(18ヶ月以下が健全)

  • 昭和のおじさんたちは、いいもの作って安く売れば、たくさん買ってもらえるといまだに信じている。

    もうそんな時代じゃないんだと若手が思っても、カイシャの方針を決めている偉い人たちの頭は固い。

    結果、製品も変わらない。カイシャも成長しない。

    老害大国日本。
    そんな感じ。

  • 現時代の企業のあり方を考えるうえでかなりためになった。アフターデジタル1は事例紹介が多かったが、今回は1で実際に挙がった声を取り上げて解説していたり、日本に当てはめるとという内容を取り上げていて分かりやすい。

  • UX検定基礎の学習推奨図書なので購入しました。
    アフターデジタルの世界(オンラインとオフラインが重なる)ではUXが重要。DXの目的は新たなUXの提供である。
    DXとUXを関連付けた考えは、納得のいくものでした。

  • (タグ更新のため)

  • (内田啓克)
    DXについて検討するにあたり読み漁った本の一冊。デジタルによって世界がどう変わり、どんな視点が重要になっていくのかを示した興味深い資料

  • After digitalの続編として、読了。会社のDXプロジェクトにかかわることになり、プロジェクトリーダーの勧めで1巻を読んだ。こちら2巻には、より具体的な施策が記載されていて非常に勉強になる。
    デジタルで顧客の行動データを分析することが一つの分かりやすいポイントではあるのだが、そのためには会社の法人格の具体化や何よりプロジェクトを進める中では高い精度での顧客理解が求められることが言われてみればそうだが、改めて勉強になった。
    また、データだけではあまり価値はなく、データの突合の重要性やそのデータを活用してどのような価値を出していくのかということがポイントとなる。そういう意味では、自社データはしっかりと自社で活用する必要があり、そこに意味を見出し、活用法は自社で考えるのが最も効率的なのだろう。

    デジタルを活用するためには、どこまで行っても顧客理解が重要である、というメッセージを受けた。
    デジタルが重要になってくる時代に、これは非常に勇気が与えられる内容であった。

  • - 新たな顧客体験(=UX:ユーザーエクスペリエンス:User Experience)を作り、顧客とアフターデジタル型の関係性を築くことがあるべきDXである」。別な言い方をすると、「UXを議論しないDX、顧客視点で提供価値を捉え直さないDXは、本末転倒である」
    - ユーザーに価値で還元するのは当たり前として、多くのユーザーがデータを預けてくれることには社会的責任が伴う。社会に還元して初めて、ユーザーが信じてデータを預けてくれる」  少なくとも私には、レピュテーションリスクばかりを気にしている日本と、いかに価値で還元してユーザーから信任を得るのかを考えている彼らでは、精神に大きな違いがあるように思います。
    - オンラインがオフラインに浸透し、もともとオフライン行動だった生活が次々とオンラインデータ化し、かつ、個人のIDにひも付けられ、膨大かつ高頻度に生まれる行動データが利活用可能になるということです。///
    - リアル接点は「今までよりも重要な役割を持つが、今までよりも頻度としてレアになる」///
    - 行動データが取れると、「最適なタイミングに、最適なコンテンツを、最適なコミュニケーション方法で提供できる」///
    - 属性データの時代は「人」単位で大雑把に捉えていましたが、 行動データの時代では、人を「状況」単位で捉えることができる ようになり、人間の自己認識や社会における人の在り方にこれまで以上に近づくことができるわけです。
    - 体験提供型ビジネスをOMOの思考法で運営し、エクスペリエンス×行動データのループを回す新たなビジネスモデルを、「バリュージャーニー」と呼んでいます。///
    - アフターデジタルのビジネスモデルであるバリュージャーニーは、産業構造を大きく転換します。これまではメーカー主導の産業構造だったと言えますが、行動データに基づくバリュージャーニーの時代では、「顧客を状況レベルで理解しているほうが強い」構造になります。この構造変化は既に中国では起こっています。
    - プラットフォーマーに頼り過ぎず、テクノロジーをまとったブランドが中間業者をなるべく挟まず顧客とダイレクトにつながり始めるという、GAFAへのカウンターとも言うべき動き が生まれています。それが「D2C」(Direct to customer)という概念
    - というのも、 利便性はコピー可能である一方、ブランドは模倣が難しいため、時代に合わせて価値を再定義して技術を正しく導入すれば、アフターデジタル時代においてもより大きく成長することが可能である ことを示しているためです。

  • 前作をちゃんと理解できていれば、本書をそこまで読み込まなくてもいいかも。
    ただし、その理解が正しいか、や、前作からの世の変化に対するアップデートを確認したければ、読んでもいいかも、という感想。
    実際読み出して、2,3時間で読み切れると思う。

    個人的には、whatchatペイとアリペイのビジョン基づく仕様というかUXターゲットの違いのくだりが印象に残った。
    もしかしたら、UXというのはユーザの本音と建前を理解して実装することも含まれるということに気づいた点だった。

全61件中 1 - 10件を表示

藤井保文の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ロバート キヨサ...
リンダ グラット...
ベン・ホロウィッ...
クリス・アンダー...
ジェームス W....
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×