中国の歴史3 ファーストエンペラーの遺産 秦漢帝国 (講談社学術文庫) [Kindle]
- 講談社 (2020年11月12日発売)
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感想・レビュー・書評
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従来の古代の史書の焼き直しに過ぎなかったような歴史の常識を破る力作。秦漢の440年を俯瞰し、かつ詳細を洗い出す歴史本。いろいろな疑問が一気に晴れたような快感を覚えた。秦の始皇帝が単に「秦」の初代であっただけでなく、漢の武帝が、新の王莽が、後漢の光武帝が倣おうとした人物だったことにこの副題の意味の深さを感じる。近年の遺跡発掘の急速な発展により、歴史の常識が覆され、また史実が確認されていっているという成果を踏まえた画期的な本だと思う。まずは里耶秦簡の発見が、陶淵明の桃源郷ユートピアが実在した!?「秦の滅亡から、漢魏晋の存在さえ知らなかった辺境の村」の実在を示したという逸話には感動した。秦の始皇帝については暴君という評価ではなく、新しい国家体制を作った人であることを痛感する。楚の項羽は楚王の孫を楚の義帝として自らをその下の西楚覇王と位置付け、春秋戦国の18王による連合国家体制に戻したこと、その中の一人が漢の劉邦であり、漢もまた、項羽の体制を踏襲していたとは全く気がつかなかった事実なのだが、その意味合いが良く分かった。漢の時代の律(法律)、人口、貨幣、宗教(後漢時代の仏教渡来も)。そして歴史研究としての史記、漢書、後漢書の成立までの様々な歴史書の存在など、詳細な記録である。
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