彼女は頭が悪いから (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 事実を元にしたフィクション。
    腹立だしいことばかりで、読むのに時間がかかる。このような事件が後を絶たないのは、こういう考え方の人間がいるからなのだと唖然とした。加害者は東大の学生だが、ある意味頭が悪いのだと思う。
    被害者美咲の大学の教授の言葉が唯一救いだった。

  • 人を評価する基準は、人生のあらゆる過程で作られていくのだと思うが、やはり大きいのは親の影響だろう。主人公つばさの兄が進路変更した際の両親の反応がまさにそれを表している。つばさ自身、客観的で冷静に周囲を見ているようで、猛烈にプライドが高く、「東大」であることにこだわり続け、起訴されてしまう。また事件の過程で、後輩に対する嫉妬心を自覚させられ、理性を失っていく。

    「自尊心」を保ちながら、「他者を尊重」して生きていくには、私たちはどうしたらいいのでしょう。少なくとも、子育ての上で、他者への偏見に繋がるような導き方をしないようには気をつけていきたいと思う。

  • 大学名を聞いたとき、ふーん、あんまり勉強していないのかな、と思わない気持ちがないと言い切れないことが怖い。一方、この人は私が知らないことを知っているのかも、と引け目を感じる気持ちもよくわかる。
    この本の加害者たちはホントにバカ、世界が狭い、何も考えていない、飲み会なんて何が楽しいの?、マジでマウント取り合うだけが一日なの?、と思った、これだったら公務員養成所って言われてもしゃーないじゃん、頭がいいことは優しいことであってほしかった 
    きめ細かくつり目の美咲ちゃんに「ばかだなあ」って言った時の切ない気持ちこそが目を向けるべきものだったはずなのに何故………… このシーンも含めて、半年後と半年前を混ぜる作者の書き方が非常に効果的で何度も頭を抱えました。
    生育環境もコンプレックスもリアルだった。かわいい子-そうでない子のジャッジに気づかないほど鈍感でいつづけたかった

  • 人間の汚い部分、きれいな部分が、これでもかと緻密に書き込まれている。
    価値観を共有していない人同士がわかりあうことは本当に難しい。

  • しんどかった。女子大の教授とゴミクズの兄貴はいい人だった。弟はクズだけど兄貴の方は天職みつけて匂いの治療に前向きに取り組んでてよかった。匂いの治療はどこがいいのか大学の知り合いに聞いてて笑った。聞きづらそうな話なのにそんなまっすぐこられたら病院探し頑張るよな。治療結果を弟(ゴミクズ)にかがせてるところ笑った。
    山岸遥さんみたいな人って本当にいる。分け隔てなく喋ってくれて自分の意見はっきりいうけど嫌われない人。いいなと思った。
    示談受け入れた2組の家族、息子が悪いことしたから当然ってことじゃなくて、もう大学は卒業してるからってことですんなり受け入れただけで嫌だった。
    女子マネの個人名をはなから覚えないで浅倉、南と呼ぶ、親子でボクキミ呼びが気持ち悪い。
    強力な味方がいて守ってくれてよかったね。最悪だよ。

  • ものすごく気分の悪くなる小説です。
    読後感もそれほど良くはないのですが、この小説はそれでよいのだと思いますし、気分が悪いのに最後まで読んだ私がいます。
    いろいろと考えさせられる小説でしたし、これを書いた人すごいなと正直に思いました。

    あとがきを読むと実際にあった問題を題材にはしているものの内容は完全なるフィクションとなっていました。

    本小説は、神立美咲さんという女性と、竹内つばさくんという男性の視点で物語の序盤は進んでいきますが、途中からは2人以外の視点も入り、進行していきます。
    最後は、そうなのかーという感じです。
    被害者にも加害者にも感情移入出来ませんでしたが、登場人物たちが本当にこの世にいるとしたら、この後の人生どうなっているのだろうと思ってしまいます。

  • 東京大学のインカレサークル会員がおこした強制わいせつ事件を基にした小説。

    ものすごく読後感が悪い。

    そんなに東大に入ったことがステータスなのか?
    東大生なら何やっても許されるのか?
    逮捕された後も、悪いことをしたという反省が皆無で、自分の経歴に傷がついたこと、それを修復することのみに集中している。

    東大に入るくらいだから、確かにお勉強はできるんでしょう。
    東大卒業したら、それなりのお仕事をするんでしょう。
    でも、だからといって「優れた人」とは限らない。
    ある意味、この作品に出てくる東大生は、そこのところを全く分かっていないおバカだ。

    被害者の女の子も救われない。
    加害者の東大生もそういった意味で成長していない。

    ものすごく読後感が悪い。

  • 後味悪いが、加害者側の心理はこれがリアルなところなのだろうな、と思わせる一冊

  • Kindleにて。
    東大生5名による女子大生の猥褻事件を元にした創作小説。タイトルは被告の男子大学生の裁判での発言から。

    二人が出会うに至るまでの描写を読むのが全然捗らず、読み終えるのに大分かけてしまった。出会った後は雪崩を打つように一気に読み終えた。
    小説一冊書かないと伝えられない感覚ってあるよね、と思う。ネットニュース記事の断片とかでは伝わらない。

    あとがきで、上野千鶴子の東大生への祝辞でこの本が触れられていたと知り、東大生がこれを読んだらどんな感想を持つのか気になった。

  • これは衝撃的な本だった。
    いったいなぜこんなに歪んでしまうのか、子育てする側の人間としても、肥大になりすぎる自尊心には気をつけなければならない。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

姫野カオルコの作品

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