対岸の家事 (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ、専業主婦の詩穂。娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったのか迷う彼女のまわりには、性別や立場が違っても、同じく現実に苦しむ人たちがいて、悩みながら、みんなで助け合いながら自分の生き方の意味を考える物語。

    共感でしかない!
    毎日毎日いろいろな家事仕を誰にも評価される事なくやる辛さ。これは男性が読んだ方がいいと思った。

  • 専業主婦が主役のお話。
    ほんとに専業主婦にも時給が発生するべきって思う。子どもは可愛いけど、24時間365日、育児と家事をするってほんとにほんとにすごいこと。体力も気力もたくさん必要。
    わたしはもうすぐ育休明けで、仕事復帰。それもそれで、仕事と家事と育児頑張れるか不安。でもこの本を読むと、みんななんとかやってる。きっと頑張れる!って思えた。
    世の中の子育て世代のママさんパパさん、無理しすぎず、乗り越えていきましょう。
    ぜひ、この本に出会えますように。

  • ほんわかした表紙に惹かれて読みました。
    3歳の娘を持つ専業主婦の詩織が主人公。

    ワーキングマザーが増え、「専業主婦なんて、イマドキ、絶滅危惧種だ」とも言われ、公園に行っても、児童支援センターに行っても、ママ友ができない。ずっと娘と二人の平日昼間を過ごしている詩織。

    ふんわりした性格の詩織が、なりゆきで、いろいろな家庭の「家事」や「育児」のピンチに遭遇し、なんだかんだで、少しずつみんなの心を救っていく、っていう感じの物語でした。

    もちろん主人公の詩織もみんなに救われていく。


    「家事」「育児」の形は人それぞれで、それぞれ隣の芝生が青く見えたり、隣の芝生を蔑んだりしちゃっているもんなんですね。それぞれの事情もあるから、さらけ出して相談することも、どんどんできなくなっていきますもんね。

    詩織みたいな人が周りにいてくれたら、きっとみんなふんわりと優しく生きていけるのになぁ、なんて思いながら読みました。



    「誰かの作ってくれたご飯ってなんであんなに美味しいんだろう」

    実感します。うん。

  • 子どもが生まれ、育児と家事両立の大変さに苦労していた時に書店で目に止まった。

    自分は男性で、まだ珍しい長期の育児休暇(5ヶ月)を取得しているタイミング。通勤電車にも乗らず、家で妻・子どもと過ごす時間が多くなり、主人公である専業主婦「詩穂」の視点も納得できる所が多かった。

    主人公の他にも、毎晩帰りの遅い居酒屋店長パパや異例の2年間の育休取得中の官僚、外資で世界を飛び回るバリキャリママなど、多様な立場の親が登場する。誰が読んでも「まさに!」と思えるシーンが必ずあるのではと思う。

    小説としてストーリー展開自体も面白い。あっという間に惹き込まれ、育児の隙間時間にのめり込むように読んでしまった。

    これから主婦になろうとしている人も、育児と仕事の両立に悩んでいる人も、子どもを持つ気が無い人も。誰にでも一読してほしい一冊。少子化著しい日本、経済政策だけでなく社会全体で「子育て」に優しい国になってはじめて、希望のある子どもの数が増えていくのだと思う。

  • 母の死後、父との二人暮らしの中否応なしに家事をさせられていた詩穂は、高校卒業後家を出る。美容師になったあと、夫となる虎朗に出会い、専業主婦になることを条件に結婚する。少子高齢化の社会で、子育てしながら働くことを求められる女性たちの悲喜劇を描く。
    数十年単位で家族のあり方が変わっていくのは正常なのか。かつては当たり前だった専業主婦は、もはや絶滅危惧種だそうだ。育メンなんて言葉が生まれたのも、男は子育てしないという前提からだろう。少子化が解消されたとしても、また違った問題がこの国には起きそうな気がする。面白かった。
    kindle unlimitedにて。

  • 家事は本当に大変…子どもはまだいないが将来果たして私たちは子育てと家事と仕事できるのか…と考えさせられた。

  • 一人の娘を育てる専業主婦詩穂と、ご近所さんの織り成すヒューマンドラマ。
    周りに同じ境遇の人が少ない専業主婦として、苦悩・葛藤しながらも必死で周りを巻き込みながら前を向こうとしている詩穂に勇気をもらえる。
    また、自身は共働きの父親として、つい他の登場人物のように専業主婦を羨ましく考えてしまうが、そう単純なものでないことにも気づかせてくれる。
    専業主婦が減ったとは言え、周りにはまだまだいるので、作中で出てきたようにそれぞれの立場での辛いところをお互いに補い合うことができるように、まずは相手の立場を想像できるようになりたい。
    苺がもうちょっと大きくなったときの苺目線の続編とか読みたいなぁ。

  • 分かる。主婦であろうとなかろうと、子育ては大変で、家事も仕事と一緒。何度も頷きながら、読んじゃいました。

  •  高校生の時、母を亡くした詩穂は、家事を一切やらない父に見切りをつけ、二度と会うまいと荷物をまとめ、寮のある専門学校に進学した。
     やがて結婚して一児の母となった詩穂は、専業主婦となり、家事と子育てにささやかな幸せを感じる日々を送るようになる。しかし、ワーキングママの隣人や、公園で出会ったパパ友には、主婦は絶滅危惧種と言われてしまい……。

     専業主婦の詩穂を中心に、夫、働きながら子育てする母親、育休を取り母親に代わって家事育児をする父親など、悩みながら懸命に生きている人々の姿を描いた物語。つい、身につまされて、引き込まれ、いつしか読み入ってしまいました。思えば遠くに来てしまったけど、ワンオペ育児の大変さを今更ながら思い出しました。読みながら様々な視点に立って考えることができたのもよかったし、子育て中の父親、母親に心からエールを送りたいです。

  • 専業主婦である詩穂の話。
    登場人物は全員個性的で、考え方に偏りはあるものの、新たな考えを獲得した気がする。
    子育ては孤独であり、助けてもらえない人もいるということ。
    改めて子どもを育てる壮絶さや、自分が辛い時に助けを求める大切さも知った。

    また、この本を読んで、詩穂が虎朗に話を聞いてほしいように、妻との会話を大切にしようと思った。

    子どもや妻との時間、シチュエーションについて全く同じ時間は存在しないので、1日を大切に、子どもとの関わりを優先的にしたい。
    来年は仕事を少なくして、子育てに今よりも積極的に関わりたい。

    以下メモ
    •坂下さん
    →主婦というものは味方を増やす。そうすることで、子どもが困った時に助けになる。

    •礼子
    →誰も助けてくれないと思っているのは、自分だけかもしれない。

    •礼子と今井の話 今井が愛犬を亡くした時
    →海の雨はレーダーには映るが、本当に雨が降っているかは、直接行かないとわからない。
    →今井が泣いていることを目撃したことはそれと同義。困っている人を助けるまでもいかなくとも、話は聞いてあげらる余裕を常に持とう。

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著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2022年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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