分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議 [Kindle]

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  • 岩波書店
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感想・レビュー・書評

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  • 2020年2月3日から7月3日の記録である。専門家会議が組織される少し前から廃止され、新型コロナウィルス感染症対策分科会が設置されるまでの凝縮された約半年間のドキュメンタリー。
    活かすべき教訓は多いが、その後の1年間の総括もやってほしいものである。半年間の教訓が活かされていることも活かされなかったこともありそうである。

  • (audible)
    今、コロナ対策のダメさを知って、聞くと正直、あんまりよろしくない。
    この本で書かれていることができているのかも疑問だし、ただのコロナ対策専門家万歳本です。
    この本書いている人も厚生労働省の感染症ムラという構造を勉強して書いて欲しかったです。

  • ふむ

  • コロナ禍である今だからこそ、コロナ関連本を読んで見ようと思いました。

    最初に感じたのは映画を見ているような緊迫感、臨場感で本を超えたような存在という感想でした。

    専門家、自治体、行政の置かれた状況を加味した上で、上手く書かれた作品。譲れないものがそれぞれある中で、お互いの意図が見え隠れする中でどのようにすれば市民の為になるか?を命を削って考え抜いた人達の物語です。
    こういう人達の想いは大事にしたいなと思いますし、
    個人でできる感染予防やコロナ禍でのコミュニケーションやマインドセットなど考えさせられる内容でした。

  • コロナ禍の様子を復習できた。官僚の固い頭、政治家の自己中、専門家の苦悩・・・なんとなく想像できていたものが活字となってリアルに再現することができた。後の先、無私の精神には共感できた。

  • 第4回も繰り返された非常事態宣言。なぜ、このような事態が繰り返されたのか?
    政府の無能さについては、なぜそんなに無能なのか?について、もっと明らかにされて行くだろう。
    梅干し顔のドンが「菅首相続投の声が国民の間にも強い」と言い切ったところは、もう耳が悪くなっていることは、明らかだ。その上、ガースー首相は、「コロナ中等症は自宅療養」を政府方針とした。抗体カクテル治療は、感染初期に使う療法だが、どうやって受けるんだべ。あまりにも矛盾した方針。国民の安全安心を守ると繰り返し言ってきたことを、かなぐり捨てた。これって、肺炎の人が病院で治療受けられないなんて、医療崩壊だと思うよ。
    ところで、尾身茂。どうも、その外見のソフトさと頼りなさがにじみ出ているコロナ感染専門家なる人、ふーむ。これだけの感染症を広げているのは、ガースーが主犯なのか、尾身茂が主犯なのかよくわからない。少なくとも、共犯であるような気もする。よくわからないので、この本を読んでみた。
    2020年2月14日から7月3日までの「新型コロナウィルス感染症対策専門家会議」にフォーカスしたノンフィクション。読み終わって、感じたのは、ノンフィクションを書くにはもっと「俯瞰力」がいると思った。「分水嶺」と言っているが、何が分水嶺なのかよくわからなかった。
    ただ、専門家として、現状を分析して、どう判断するかということで、「選択をせざるを得ない」時にどう対応したのか?
    コロナ感染専門家として、脇田隆字(専門家会議座長)、尾身茂(専門家会議副座長)、押谷仁、西浦博、岡部信彦、武藤香織の群像に焦点が当てられている。
    脇田隆字は、国立感染症研究所所長(厚生労働大臣に任命される職)。感染症対策専門家会議。世界で初めて、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染性ウイルス粒子を、培養細胞で作製することに成功。
    2020年2月にルビコン川を渡って、専門家会議独自の見解を出す。厚生労働省が本来は発表するという不文律を破る。厚生労働省は、「症状の現れない患者からの感染」を言句を削れという。とにかく、座長は、厚生労働省との交渉に明け暮れる。官僚と専門家の調整役。
    尾身茂は、独立行政法人地域医療機能推進機構理事長。1949年生まれ。1990年 - WHO西太平洋地域事務局感染症対策部部長。1999年WHO関西太平洋地域事務局事務局長。中国で起こったサーズに対応した。まぁ。WHOのアジアにおいての感染症のプロ。
    この本では、尾身茂の「前のめり」が浮き彫りになる。感染症対策というのが、予測を立てることに注力する。北海道大学の西浦教授の8割おじさんの主張を訴える。
    専門家会議は、意見を言うだけで、実行する力はない。専門家会議のポジションが、日本の現状を作り出した要因か。
    押谷仁、尾身と同じようにWHOにいて、中国のサーズに対応した。東北大学教授。
    3密を避けることの中で、クラスター対策を提唱。地方自治体で、コロナ患者の状況は集約されるが、専門家会議はそのデータが使えない。それも、患者報告がFAXで行われている。日本のお役所仕事のとほほな現状。NHKドキュメントでそのころは盛んに取り上げられていた。PCR検査に対して懐疑的。「PCR検査を抑制している」と叩かれた。過労で倒れる。
    専門家会議で、PCRを強力に進めると言わなかったことが、一番のよくないことだろうね。あくまでも、医師が必要と判断した場合に限った。(これが、専門家会議の大きな問題)
    武藤香織、東大医科学研究所公共政策教授。リスクコミュニケーションの専門家。著者の指導教授。
    この人の話は、よく出てくる。リスクコミニュケーションが、今回のコロナ感染で認識された。
    岡部信彦、川崎市安全研究所所長。コロナ感染について、死者が基準であること。非常事態宣言の発出に抵抗示す。
    ふーむ。この本を読んでも、どうも、スッキリしない。専門家が迷走している感が強い。まぁ。とりあえず、クラスター対策という日本モデルを確立した。それが、政府によって、居酒屋対策、居酒屋で酒を出さないという方針に矮小化されたことは、よくわかった。
    何れにしても、政府は自分の都合のことしか専門家会議の意見を聞かないということなので、結局は、コロナ感染のダラダラ感染の主犯は、政府であり、共犯者は「専門家会議」ということになるのでしょうね。なんら、権限がないところで、あれこれ言っても、実行されない。

  • 未知のウィルスに立ち向かう専門家の皆さんがどのようなことを考え、どのような葛藤をしてきたかが克明に描かれた作品。

    専門家の間にも色んな考えがあるし、何より官僚や政治家とそもそもスタンスが大きく違っているし、彼等が法制度的にどういう位置づけだったかというところも説明されていて良かった。

    本当に皆さんの熱意に頭が下がります。

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著者プロフィール

河合 香織(かわい・かおり):1974年生まれ。ノンフィクション作家。2004年、障害者の性と愛の問題を取り上げた『セックスボランティア』が話題を呼ぶ。09年、『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』で小学館ノンフィクション大賞、19年に『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で大宅壮一賞および新潮ドキュメント賞をW受賞。ほか著書に『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』『帰りたくない 少女沖縄連れ去り事件』(『誘拐逃避行――少女沖縄「連れ去り」事件』改題)、『絶望に効くブックカフェ』がある。

「2023年 『母は死ねない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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