三十の反撃 [Kindle]

  • 祥伝社
3.79
  • (7)
  • (11)
  • (8)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 139
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (262ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今まで色々な韓国ドラマや映画を観てきた。
    登場人物の多くが朝から晩まで働き、
    みんなでワイワイお酒を飲んで、
    酔い覚ましスープやハチミツ水を飲んで
    また働いていて。
    アクティブで凄いなあ、と思う反面、
    自我が強いというか、
    権利を振りかざして怒ったり喚いたり、
    他人のせいにして自分を正当化したり、
    そういう部分に辟易していた。

    そんなドラマや映画ばかりではなく
    静かに優しく物語が進むものもあって、
    日本にはない表現の素晴らしさや
    心を柔らかく包むような言葉の数々に
    感動させられて詩集を購入したり。

    この作品も
    生まれた年代のせいで
    ありふれた名前になってしまった
    主人公の淡々とした物語で、
    自己紹介が苦手だったり、
    みんなと一緒に食事に行くのが嫌で
    架空の友達を作り出し言い訳にしたり、
    共感できるところが多かった。
    彼女ジヘはもっといい生活に憧れ、
    今はインターンだけれど
    いつか上へ行く、という小さな野心があり。
    知り合った仲間(年齢も性別も様々)と
    世の中を、自分の生活を変えようと行動する。
    それは思ったよりも上手くいかず、
    挫折を覚えるけれど、
    行動した、という達成感は
    彼らの心をほんの少し変えていく。

    とても素敵なドラマを観たような
    読後感だった。

  • Audibleで読了。韓国の話だったけど、日本と同じくらい大変な状況で、国に関係なくどこも大変だなと思った。絶望の中でもがいている人の声がリアルに感じた。
    搾取されることや、無下にされることはよくあることだが、どうにもならないことでも声に出すことで変わることがある。
    韓国の慣習等の説明もとても興味深い。
    ラストがよかった。

  • なんとなく日本の小説と混ざる感覚。読んだあとは何故か日本の小説の主人公にすり替えている自分がいた。

  • 私にとってはソンウォンピョンさんの作品は、アーモンドに続く二冊目。相変わらずスクリーンに映しだされるようなリアルなタッチに惹きこまれ、そこにまたシュールな現実を優しく包みこむようにjazzが流れている。あたかも昭和の映画を見ているようだ。

    登場人物が、夢に向かってというより、世の中の理不尽さ、現実の厳しさに打ちのめされ、受け入れながらも、自分の中の正義や未来を必死に守ろうとする生き様に胸を打たれた。
    誰しもが、ああ、こんなことってあるよね、と思わせる現実がこれでもかと襲ってくる。それでも、もがいてもがいて自分の未来という大切なものを掴み取り、成長していく。どうやらどんな大人になるかという大切な問題を私は過去には置いてきてしまったようだ。

    jazzの余韻にひたりながら、ギュオクとジヘが歩いて行く未来が明るいものであることを、数多の若者達の未来に光あらんことを切に願う。

  • 人生の一幕に感じる些細なことがその後の人生を変えるような印象を与える小説でした。

  • 書店へ行くと必ず目にする本だったので、ずっと気になっていました。韓国のエッセイは最近よく読むのですが、これは物語になっていて、その中で社会との付き合い方を考えさせられる本でした。間違っていることは間違っていると声を上げることから実践していこうと思いました。(個人的には、恋愛要素がいらなかったかな〜)

  • 30歳の平凡な女性キム・ジヘがインターンとして働く会社。そこで出会ったホッキョクグマのような同年のイ・ギュオク。そしてウクレレ教室で出会ったムイン、ナムンおじさんの4人が「数々の反撃」にチャレンジしていく。それなりに仲間意識も出てきてジヘも正社員に。弟ジファンとギュオクの全く違った考え、「現実に賢く従う」「現実に亀裂を起こす勇気を持とう」の間で苦しむジヘ。そこへ登場する13年ぶりに会うもう一人のキム・ジヘが登場したところからジヘはより大胆な自己主張ができる女性に成長していったように感じる。4人の仲間が分かれ、イ・ギュオクとも別れたのちに、再会した時の文があまりにも美しいので引用したい。
    「私たちの目が合った。ギュオクの顔に微笑みが浮かんできた。私も眉をぴょこっと上に上げ た。これは確かに仲間意識だ。人には内緒の、二人だけの仲間意識。私たちの顔には笑いが広が り、笑いはとうとう声になってあふれ出した。永遠に続く歌が始まったばかりだ。 大地の上に赤 精気を思う存分に撒いた太陽はいつの間にか姿を消し、都会の上にゆっくりと夜が訪れた。」

  • たんたんとした
    まっすぐな
    はなし

  • 生きていくことは、どこの国でも共通に、悩んでモダモダすることだと思いました。
    お隣の国のさまざまなニュースを思い出しながら、audibleで聴きました。

  • 最近韓国の作家さんの本を読むことが増えたけど、この作品は、韓国の社会情勢や風潮に影響されてる主人公を描いてる感じがあった。日本の小説も海外だと違和感を抱きながら読む人もいるのかなと思った。

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1979年生まれ。2016年、長編小説『アーモンド』で第十回チャンビ青少年文学賞を受賞。短編集に『他人の家』、長編小説に『三十の反撃』『プリズム』がある。現在、映画監督、シナリオ作家としても活躍している。

「2021年 『私のおばあちゃんへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ソン・ウォンピョンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×