PMBOKはじめの一歩 スッキリわかるプロジェクトマネジメントの基本 [Kindle]

  • 翔泳社
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  • プロジェクトを立ち上げる意義と、そのマネジメントの方法を学ぶ入門書となる本です。
    プロジェクトマネジメント(PM)の参考書「PMBOK」は、IT業界だけでなく、製造業、金融、物流など様々な業界から注目を集めています。
    そんなPMBOKのエッセンスについて、PMとはそもそも何かということから始まり、具体的な事例も使いながら、概要と解説が紹介されています。
    資格取得を目指す方だけでなく、プロジェクトを運営する立場として悩みを持つ方などが、問題解決のヒントを得られる1冊ではないでしょうか。

    【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】

    「プロジェクトマネジメント(PM)がなぜ必要かは、存在しないプロジェクトを考えてみるとわかる。ゴールへの道標がなく、メンバーが思い思いにゴールを目指し、バラバラに作業を行うと、とても効率が悪く、ゴールに辿り着くことすらできないこともある。」
    「PMは、目的でなく手段。目的化しないよう、そもそも『何のためにこのプロジェクトが行われるのか』を考えると、プロジェクトの実現により、ビジネス目標を達成し、成果を出すというプロジェクトのより本質的なところが見えてくる。顧客をはじめとする関係者の利益、満足が重要。」
    「プロジェクトの性質や状況で、求められるマネジメントのタイプは異なるが、結局のところ、未知なものごとに取り組むことが多く、数ヶ月から数年という長い期間に向かって行われる中では、自分たちのやりたいこと(夢)に向かって、自発的に取り組める人がPMに向いている。」
    →おそらく、顧客にとっての「ありたい姿」を実現するのがPMが達成すべき目的で、それを思い浮かべているかどうかが、プロジェクトマネジャーとして成功するかの一番のカギなのかな、と私は感じました。

    【もう少し詳しい内容の覚え書き】

    ・プロジェクトマネジメント(PM)は、目的でなく手段。目的化しないよう、そもそも「何のためにこのプロジェクトが行われるのか」を考えると、プロジェクトの実現により、ビジネス目標を達成し、成果を出すというプロジェクトのより本質的なところが見えてくる。顧客をはじめとする関係者の利益、満足が重要。
    ・プロジェクトの性質や状況で、求められるマネジメントのタイプは異なるが、結局のところ、未知なものごとに取り組むことが多く、数ヶ月から数年という長い期間に向かって行われる中では、自分たちのやりたいこと(夢)に向かって、自発的に取り組める人がPMに向いている。

    ○PMとは何か
    ・プロジェクトとは「独自の製品、サービスを創造するために実施される有機的な業務」。プロジェクトの属性によって、独自性があるのが特徴。
    ・ただ、プロジェクトは、毎回同じ作業を繰り返し行い、同じ結果を生み出す定常業務からそのニーズは生まれるので、常に関係性を保ちながら進む。課題解決を目的に、定常業務から切り離された新たな業務がプロジェクトになる。
    ・併せて、絶対厳守の期限という「終わり」と同時に、プロジェクトを「開始」するという「有機性」も持つ。期限厳守なので、全てのプロジェクトが成功して終わるわけではないことに注意する。
    ・マネジメントは、PMにおいては現場寄りの意味合いが強く、身近なもの。PMの役割は「カーナビ」のようなもので、できるだけスムーズに目的地に着こうとするためのもの。目的により、どこへ行くのかの目的地(ゴール)設定、次に目的地にたどり着く(最終成果物を生み出す)ためのルートを検索(プロセス設計)し、選ぶ。このとき、有料道路を使うか(コスト)、何時に到着するか(スケジュール)を踏まえるし、渋滞(リスク)に巻き込まれないよう回避ルートを教えることもある。PMを正しく活用すると、計画に沿って効率よくプロジェクトを進められるし、予期せぬ変更にも柔軟に対応できる。
    ・PMがあると、①チームがプロジェクトの成功という同じゴールに向かい、その先にあるビジネスの価値を実現できる、②QCD(品質、費用、スケジュール)を中心に計画通りに実施できているかチェックしながらプロジェクトを円滑に推進できる、③関係者の意思が統一され、適切なコミュニケーションを取った上で活動できる、という3つが得られる。システム開発や建設でなくても、すべての活動に使える。
    ・求められるスキルとして、これまで、マネジメントの知識やスキルなど「テクニカル」の要素が強かったが、経営環境が大きく変わり、変化に迅速に応えられるマネジメントがますます求められるようになった、PMを有効に行うためには、企業の戦略やビジネスの目的の理解と推進が必要になり、「リーダーシップ」や「戦略的およびビジネスのマネジメント」も持ち合わせることが求められるようになった。

    ○PMの概要と活用
    ・PMがなぜ必要かは、存在しないプロジェクトを考えてみるとわかる。ゴールへの道標がなく、メンバーが思い思いにゴールを目指し、バラバラに作業を行うと、とても効率が悪く、ゴールに辿り着くことすらできないこともある。
    ・プロジェクトマネジャーの仕事の9割が段取りやコミュニケーションとされ、多くの時間をかけてコミュニケーションすることで、ステークホルダー全員の目指すゴールを一致させ、プロジェクトを推進できる。プロジェクトマネジャーがすべてを決めて実行するのではなく、責任や権限をステークホルダー間で適切に分担し、コミュニケーションを重ねることで、プロジェクト全体として決めるべきことを決めるよう促す。
    ・プロジェクトは有期的な業務だが、終結に必要なのは一定の期間を過ぎること(有期)ではなく、期間内で要求事項や品質、コストなどのさまざまな条件を満たし、基準をクリアすること。その条件や基準が、PM計画書に記載される。計画書に沿って、プロジェクトを実行し、監視・コントロールする。
    ・PM計画書は、プロジェクトの開始を「プロジェクト憲章」で宣言しているか、プロジェクトのゴールを設定しているか、やり方が目的になっていないか、何かトラブルが起こったときに立ち戻るためのものになっているか、計画書作成に注力しすぎていないか、といった点に注意する。
    ・プロジェクト・スコープ・マネジメントで、「やる範囲を決めて、必要な作業を組み立てる」ことで、具体的な作業内容を明確化する。「やる範囲は正しいか、範囲を逸脱していないかを見張る」ことで、適切な規模のプロジェクト・スコープをキープする。やるべきことだけでなく、やらないことも決める。
    ・期限に間に合わなければ意味がないので、プロジェクトが生み出す価値を適切に提供するためのプロジェクト・スケジュール・マネジメントを行う。誰が、いつからいつまでに作業するのか、関連付けながら決める。アクティビティ、担当者、所要日数(時間)数、開始日、終了日、依存関係、アクティビティの順序、という情報から構成する。
    ・作業には依存関係があるので、順序を意識する。所要日数の見積は、適切な余裕(バッファ)は必要だが、多すぎても少なすぎても×。先のことは後で考える。作業が適切に実施されるようマネジメントし、計画通りに進まない時は、クラッシング、ファスト・トラッキングなどの短縮技法を使うことや、しっかりと原因分析をして適切な対策を行うことが求められる。
    ・計画なしにコストを費やすと、あっという間に予算超過に陥る。プロジェクト開始時点で、予算をいつ、何に、どれだけ使うかを計画し、期間を通して適切にコントロールすることがプロジェクトマネジャーに求められる。①何にコストが必要かを見積る、②コストの過不足を見張る、③完成時総コスト見積りがあれば、実コストを差し引いて、完成までに必要なコストを見積る、といったことがポイント。
    ・製品やサービスなどを顧客が実際に使用したときの使用品質は、成果物が完成してからか、プロジェクトの終盤でないと測定できない。問題発覚時に初めて手を打つようでは、コストや納期への影響が高く、リスクが高い。設計品質、製造品質を管理し、プロジェクトの早期の段階から品質を保証するための活動が必要。プロジェクト期間中を通じ、働きかけを行い、品質が保証できているかを見張り、測定した結果が基準値の範囲内に収まらない場合は、対処と対策を行う。さらに品質を高めるため、チェックをチーム間で「横展開」することも重要。
    ・プロジェクト遂行には様々な資源が必要となる。これらを適切なタイミング、量で投入できるようコントロールすることが必要。必要な資源を決め、資源を最大限活用できるよう働きかけ、資源を活用できているかを見張る。計画時点で「誰がやったら一番良いパフォーマンスが出るか」を考え、「どうやったらメンバーが最もパフォーマンスを発揮できるか」を考え、実践することが大事。
    ・ビジネスの目的達成のために、プロジェクトにはたくさんのステークホルダーが複雑にコミュニケーションすることで成り立つ。人が多いほど「つながり」の数は多くなるので、効果的なコミュニケーションを行うため、計画時点で「情報伝達を漏れなく効率にやるためにどうするか」決める。一人でもそれを知らないということは×。途中で決まったことは正しく残しておく。
    ・PMにおいてリスクとは、プラスマイナスどちらか、もしくは両方の「不確実性」のこと。プロジェクトマネジャーは、リスクに対して適切に対処していくことが求められる。好機についてはチャンスを掴み利益を増大させ、脅威については発生を抑えたり影響を極小化させたりするように働きかける。ステークホルダーと協力して、計画時に「何が起こるのか、起こったときにどうするのかを決める」計画を立てる。リスクに対し、マネジメントの計画、特定、定性的分析、定量的分析、対応の計画、の順に進める。
    ・プロジェクトを進めるには様々なリソース(モノ、技術、知識など)が必要になるが、チームのみで確保できない場合、チーム外のリソースを「調達」して活用する必要がある。プロジェクトマネジャーは、調達の契約、発注などの手続きや、調達のタイミングやコストのコントロールなどが求められる。
    ・計画時に「誰を、何をいつ準備するのか」決め、期間中を通じて「必要なものや人が揃うように働きかける」ことで、計画に沿って適切なタイミング、量の調達を行う。「必要なものや人が適切に調達されているか」見ることで、契約に沿って適切なパフォーマンスを発揮しているか監視し、適切な変更と是正を行い、最終的には契約を締結させる。必要なスキルを持った人は突然現れない、発注から納品までの期間を忘れてはいけないことに注意する。
    ・プロジェクトには多くのステークホルダーがいて、それらの人たちの期待や言動が、プロジェクトの成否に大きな影響を与える。成功には、その期待を明らかにして、プロジェクトにどう影響するかを評価し、適切にコミュニケーションを取る必要がある。プロジェクト開始時から管理するのが重要。
    ・プロジェクト期間を通じてステークホルダーの期待をケアする。まず、誰と一緒に進めていくのかを見極める。計画時は、ステークホルダーが何を求めて、どうしたいのかを理解しながら、一致団結するよう働きかける。期間中は、常にステークホルダーのニーズや期待に応えられるよう働きかける。関係はモニタリングし、状況の変化に応じて、ステークホルダー・エンゲージメントを計画し直して行動する。
    ・それぞれのマネジメントプロセスは独立して存在するわけではなく、他のマネジメント作業と密接に関係するので、すべてのプロセスを統合的に管理するマネジメントが必要。実行プロセス群では作業の指揮を振るい、監視・コントロールプロセス群では作業がうまくいっているか見張り、終結プロセス群では、プロジェクトを終わらせ、次のプロジェクトにノウハウを生かす。それぞれのマネジメントをバランスをとりながら統合していき、変更管理で混乱しないルール作りをすることが重要。

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著者プロフィール

◎ファロージャパン㈱シニアマーケティングマネージャー。マーケティングポータルサイト『ビジネスファイターズ』運営。
◎愛知県生まれ。南オレゴン州立大学卒業。インサイトテクノロジー社にてインド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。約10名のインド人チームと協力し、4年間で8つのプロジェクトを行う。現在はNASDAQ上場企業FAROにて、日本、韓国、東南アジア、オセアニアの4カ国のチームをまとめるマーケティング責任者を務める。
◎プロジェクトマネジメントの国際資格(PMP)取得。プロジェクトマネジメント協会(PMI)の標準本『PMI標準 プロジェクトマネージャーコンピテンジー開発体系 第2版』を出版翻訳。日刊工業新聞、大河出版、日本工業出版社などの専門雑誌で記事を執筆するほか、メカトロテックや日刊工業新聞社主催の展示会での講演も多数。

「2022年 『PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント[第2版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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