- Amazon.co.jp ・電子書籍 (145ページ)
感想・レビュー・書評
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立川志の輔師匠の「大河への道」という創作落語に感動した中井貴一が、
映画化したいと志の輔師匠に直談判して、
いよいよ6月より放映開始した映画の、
志の輔落語を忠実に文字にした原作本。
ホントに志の輔師匠はすごい!
伊能忠敬の史実を語りながら落語に落とし込み、
クスクス笑いとともに、泣ける感動の物語にし、
最後は落語らしくしっかりサゲを付ける。
古典落語は独自の解釈で新たなサゲを考え、
創作新作落語も一級品の物語を堪能させてくれる。
現役の落語家では一番ですね。
残念ながら、この「大河への道」の落語はまだ聴けていません。
CDやDVDも出ていないようで、
めちゃくちゃ聴きたいのだけれど聴けないもので、
今回は出版されている文庫本を読ませていただきました。
伊能忠敬の地元、現在の千葉県香取市役所。
没後二百年の記念に、伊能忠敬をNHK大河ドラマにしようと、
役場の署員が健闘する物語。
志の輔師匠の語りでなくても、
この本だけでも物語の面白さが十分に伝わりました。
映画も面白そうですが、
それより何より、志の輔師匠のこの落語が聴きたい!
どうにかして聴けないものか。
非常に悩ましい・・・。
純粋に読み物としても楽しめました。
あらいぶ的評価は☆4個です。
215ページと、かなり少なめなので、
半日もあれば読んでしまえます。 -
伊能忠敬をNHK の大河ドラマにとりあげてもらおうとする市役所職員。先入観のない若手の脚本家と二人の職員で、伊能忠敬のことを調べるが。
なぜ今まで一度も、伊能忠敬が大河にならなかったのか? -
人生が50年の時代に55歳から72歳まで日本全国を歩き回り地図を作成した伊能忠敬。完成をまたずに亡くなってしまったが、死後3年後に完成した地図を幕府に献上した後に伊能忠敬の死が公表されていた。そこに目をつけて落語と小説を創作した志の輔さんが、すごいです。
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・立川志の輔「大河への道」(河出文庫)は志の輔落語の小説化作品である。巻末には、「本書は二〇一一年初演の立川志の輔の新作落語『大河への道ー伊能忠敬物語ー』を小説にしたものである。落語のスト-リーに忠実に添いつつ小説として体裁を整えた。」 (216頁)とある。こちらでもこの高座があつたらしいが、私はこれを聞いてない。おもしろかつたらしい。聞けば良かつたと思つたことを覚えてゐる。それが小説になつたのである。これは読まねばと思つて読んだ次第。そこで関連して疑問に思つたのは、小説化を誰がしたのかは書いてないといふことである。協力者の名前は載るが、これが小説化の作家であるかどうかは分からない。奥付には原作者志の輔の隣に執筆協力として二名の名がある。この人達が小説化したのかもしれない。しかし、執筆協力とはいかなることかといふと、これがわからな い。志の輔自身が小説化を試み、その「体裁を整えた」のが二人なのか。実際、 話し言葉をそのまま文字化していけば小説になりさうな気がする。志の輔の高座がそのまま小説になれば、これも言文一致である。しかし、それではうまくない部分もある。それを手直しするのが執筆協力であらうか。こんなことを考へてしまふのであつた。
・「大河への道」とは何か。私はこれが分からなかつた。しかし、本書を読むとすぐに出てくる。「大河とか……」(17頁)、「いや、大河ドラマとかどうですかね? NHKの大河ドラマで取り上げてもらうっていうのは」「大河ドラ マ? 誰のですか?」「そりゃあ……わが郷土の英雄っていったら、忠敬さんしかいないでしょう」(18頁)といふわけで、千葉県香取市が伊能忠敬を大河ドラマにしようといふのである。だから大河への道である。この道、言ふは易く行 ふは難しである。その苦労の過程が伊能忠敬の半生とともに語られる、これが本書の内容である。伊能忠敬は既に井上ひさしが小説に書いてゐる。ひたすら歩く行程を小説にしてゐる。井上ひさしは例の調子で、ユーモアを交へて長大な作品 をものした。ここではそれを大河ドラマにしようといふのである。私はきいてをらず、読んだだけなので読んだ感想を書くしかない。本書の主要登場人物は3人、池本、木下は市の職員、加藤は大河ドラマの粗筋を依頼された脚本家、この3人であるが、カバーには女性がゐる。たぶん忠敬の4番目の妻らしき女性、おえいであらう。この女性は忠敬の元を離れても結局は地図完成までつきあつたらしい。落語だとこれを語り分ける。これが小説でも実によくできてゐる。加藤の初めはおずおずしながら徐々にのめりこんでいく様は見事である。さうして最後 にドラマのタイトルが伊能忠敬ではなく、高橋景保であつたといふシーンあたりからは涙なくして読めないやうになつていく。伊能忠敬は死んでゐるのに景保が中心になつて日本全図を完成させた。そんなドラマになつたらしい。忠敬はすご すぎる人なのであつた。たぶんこの加藤の気持ちがこの話のすべてであると思ふ。地図を作るための資料集めだけで終はつた忠敬、地図を見ずに死んだ忠敬、 17年間歩き続けた四千万歩の男、志の輔の思ひもここにあるのではないか。すべてはこのシーンを語るために、読むためにあつたのではないか。さういふ人に大河は向かない。いや、忠敬は「ドラマに収まるほど、小さき人間ではなかっ た!」(214頁)といふことである。この一文にこの物語は集約される。これはクリエイターとしての志の輔の創作への思ひを述べたドラマであつた。個人的には映画化でイメージを限定されるのはまづいと思ふ。残念である。志の輔の咄が聞きたかった……。 -
プロローグ
平成の伊能隊
文政三年十月―伊能忠敬の友人、綿貫善右衛門の話
歩く落花生
文政三年十二月―伊能忠敬の四番目の妻、エイの話
伊能忠敬は生きている?
文政四年二月―伊能忠敬の上司、高橋景保の話
最終プレゼン会議まであと十九時間
封筒の中のプロット
最終報告 -
映画を見に行こうと思い、その前に原作を読んでみた。原作も映画も面白かった。伊能忠敬が日本地図を作るのにかけた時間の長さを少しだけ感じることができた。
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以前にナゴヤドームで展示があった。ドームに大きな地図からいろいろなサイズの地図が並べられていた。たしか、絵葉書を数枚、買ってきた覚えがある。日本地図ができるまでの話に触れてみたいとずっと思っていた。そんな一冊。