不倫と正義(新潮新書) [Kindle]

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  • 話題の女性2人が、不倫について対談した内容をまとめたもの。著名な学者だけあって、議論が知的で深い。異なるバックグラウンドの両者であるが、議論がかみ合っていて面白い。結局、価値観が似ているので同じような方向に、議論が収束していってるように思うが、これは両者とも女性であることもあるからで、男性の視点があっても面白い企画になるように思う。いずれにしても、思い切った企画だと思った。

    「何より私(中野信子)と違う点は、私が極めて怠惰であるのと対照的に、三浦さんはあらゆることに手抜きをしない、まじめな努力家であり、しかもその努力や舞台裏を人にはあまり見せないというところだと思う」p4
    「一夫一妻型の種って哺乳類では3~5%とされているんですね。そもそも圧倒的に少数派なんです。その上、人間は生物としては一夫一妻型ではないんです。一定の発情期もないから、いつでもパートナーを探すことができる。そして、同時に複数のパートナーを持つことが可能な脳を持っている。一夫一妻型の種ではそれができません」p19
    「(中野信子)遺伝的な要素も関わってきます。ある遺伝子を持っているタイプの人では、未婚率、離婚率、不倫率が高くなる。この遺伝子の持ち主は、身内にはやや冷たい行動をとりがちになるためではないかと考えられています。一方で、外づらはいい。そのため、社会経済的地位も上がりやすくなる。で、「よく稼ぐ」です。1人にこだわる気持ちが薄いからか、人脈を形成するのも得意で、その場限りの雰囲気を作るのも上手です。そういう人を夫に選ぶことは特段に悪い選択じゃないと思うんですけど、今の不倫をたたく風潮からすると、世の中の人はあまり稼がず、貞淑な夫を望んでいるんですかね。よく稼ぎ、よくばらまく人もいて別にいいんじゃないのと思うのですけど」p21
    「弱い者を守るために集団が必要(強い者は単独でも生き残れる)」p66
    「死の恐怖と疎外の恐怖は似ている」p71
    「(中野信子)節度ある不倫ていいなあ。互恵関係というか、お互いに資するところがあって、迷惑をかけないようにしようねっていうのがきちんと保たれているのであれば、それはトレラント、寛容でいられるっていうかな。そういう不倫なら許容の範囲なのでは、と自分は思いますけどね」p82
    「(中野信子)「津波ごっこ」とか「地震ごっこ」というのはよく知られていると思いますけれど、実は止めちゃいけないんです。怖かったことを追体験することで、学習しているんですよ。そんなに怖くなかったと思いたい、だから何度も何度もやるんですけど、記憶ってそういう性質がある。こういうことがあったという事実の記憶、出来事の記憶は変わらないけれども、何度も想起したりすることで意味づけを変えようとするんですね」p97
    「女性の地位が高い北欧では、我々の社会よりも階級格差みたいなものが大きいと思うんですよね。低い収入の人は低い収入の人同士で結婚していると思うし」p103
    「(中野信子)霊長類の特徴といっていいと思うのですが、特にオスの側にあるのが、ヒエラルキーの上にいないと食い扶持がもらえないということなんですね」p105
    「人間は性的には相手に飽きやすい存在」p115
    「(三浦瑠璃)潔癖主義を持ち込むのは無理ですよ。人間の欲望を作り替えるというのは神にだってできっこないんですからね」p239

  • 一旦絆を作った相手が自分のルールを外れると攻撃したくなる。
    他人が思い通りにならないことと、そこに不快感を覚えることに対し、我々は冷静に受け取ることに慣れていない。
    損得勘定をし出したら夫婦関係は悪くなるばかり。結婚生活の秘訣は利他的であること。
    わかるけどなかなかね…。

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著者プロフィール

脳科学者、医学博士、認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。著書に『サイコパス』『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『脳の闇』(新潮社)などがある。

「2023年 『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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