- Amazon.co.jp ・電子書籍 (252ページ)
感想・レビュー・書評
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「ゲームの王国」に続き2冊目の小川哲さんの小説、SF
短編集。
前作同様、歴史とSFとを絶妙に絡め合わせたエンタメ。
「僕が言いたいのは、歴史上の成果は二つの種類に分けることができるということなんです。ある特定の人物がいなくても存在したものと、ある特定の人物義なければ存在し得なかったものの二つに」
「たった一人の証人がエンゲルスを助けなかったら、共産主義は誕生せず、ソ連も存在しなかった」
米ソ冷戦下、マルクスとエンゲルスが出会った過去を改変することで共産主義自体の消滅を目論むCIAのエージェントを描いた表題作。
それから特に印象的だったのが、千夜一夜物語の形式をとって「語り手」が「王」へと語りかける【時の扉】。
「王」の正体が分かり、綿々と語られてきた物語が円形に繋がる瞬間が面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みやすいのに、脳みそをウニウニされるSF(なのかな?)短編集
癖になる感じ。 -
『ゲームの王国』で一躍名を轟かせた作者待望の短編集。さらに言うと、自分と同じように「文庫化されるのを待っていた…」というファンも多いと思う。
『ゲームの王国』を読んだ時にも感じられたけれど、この作者は舞台としての外国や、設定としての歴史に関するアプロートの仕方が丁寧かつ説得力があるので、スイスイと読めてしまう。
でも収録作自体は正直、どれも「並」レベルかな…と感じてしまった。
ただ、巻末に収録された書き下ろしの表題作は別で、米ソの冷戦をこんな視点からアプローチすることができたのか! と感動すら覚えてしまった。
米ソや資本主義と共産主義の対立は、永遠にSFにテーマを提供してくれる気がしてならない。 -
短編集。「魔術師」と「嘘と正典」がすごく良い。