リバー (集英社文芸単行本) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 途中まではいろんな登場人物のキャラクターがいきいきと描かれて引き込まれていきましたが、後半からラストにかけて息切れしたように感じたのは残念でした。肝心の犯行動機がどこかに置き忘れられたように感じたのは自分だけでしょうか…。

  • 小野不由美さんの「屍鬼」を思い出させる書き方でした。
    群馬県警での捜査、報告。
    栃木県警での捜査、報告。
    合同打合せでの報告と、重なる情報が多い書き方でしたね。
    それがリアルな感じも受け、逆にいうとそういうのがなければ1/3ページ分減っていたかもしれないと思いながら読んでいました。
    やっと読み終わり、いざ犯人は…の箇所で、
    「あれ?10年前の2件目の犯人は??」と消化不良。
    他の方のコメントで犯人はわかりましたが、
    「あれ?そんなシーンあったっけ?」とこれまた消化不良。
    長すぎる話に、戻って探すのも断念。

    ずっと警察は刈谷が怪しいと捜査を進めていました。すっかりエンタメ小説に毒されている私は、「どうせ最後の犯人は大どんでん返しがあるんでしょ」とナナメ目線で読み進め、刈谷の情報を警察にリークするラーメン屋・八木が怪しいと思っていました。
    …どんなに推理小説を読み込んでも、いつまでも犯人を当てられない自分に嫌気がさしました。

  • なんかもっと「オリンピックの身代金」とか「罪の轍」みたいに、当時の日本がどんな社会情勢だったかが描かれるのかなと思っていたんだけど、そうではなく、意外と、徹底した警察小説、って感じだった。ネットで著者インタビューを読んだら、デヴィッド・フィンチャーの「ソディアック」を意識していたみたいなことが書いてあったけど、なるほど、執念深くただ地味にひたすら捜査していく感じが似てるかも。そう、ほんとに地道な捜査が続くんだけど全然飽きずにどんどん読めて、もっと読める、って感じ。わたしはキンドルで読んだけど、書店で紙の本を見たらその厚さにびっくりした。ほんとに長さを感じない。
    だからもっと長くなっても、犯人の動機とか、細かい真相を書いてほしかったような気もするけれど、これもインタビューを読んだら、人間のすることすべてにはっきり動機があるわけじゃない、みたいなことが書いてあって、それはそうだと納得した。
    あと、最初読みはじめた瞬間に、文章なめらか!!とか驚きのレベルで思った。なんだろう、翻訳モノと比べてしまうのかな……。

    余談だけど、わたしは海外ミステリは好きなのに、国内ミステリ、国内の警察小説とかはぜんぜん読まなくて。もしかしたら、日本の警察組織の体育会系っぽさ、家父長制っぽさ、昭和っぽさ、男社会っぽさ、みたいなのが苦手なのかなあと思ったり。この小説は、今の話なので、組織に若い人もいて女性記者もいて、そんなに感じなかったけれど、やっぱり警察は体育会系的な組織ではあるよな……。海外だって同じなのかもしれないけど。

  • 大好きな奥田英朗さんの新作を待っていた
    2年前に「コロナと潜水服」を発表されて以来の新刊
    前作はほのぼのとした短編小説だったが、今回は650ページにも及ぶ超長編

    犯罪小説というか、警察小説というか、奥田さんの引き出しの多さには感服する

    群馬県桐生市を流れる渡瀬川河川敷で、若い女性の全裸死体が発見されるところから物語は始まる

    折しも、現実でも行方不明になっていた小学生の女児が最後の足取りから遠く離れた川で発見された事故が連日のように報道されていたこともあり、現実か虚構か区別がつかない時があった

    警察側から、新聞の社会部の新米記者の立場から、10年前の同じ事件の被害者の父親の立場から、10年前に犯人を挙げられずに退職した元刑事の立場からとさまざまな視点に立って楽しめた

    容疑者として上がった三人の男性は、全く無関係なのか
    どう繋がっていくのかも興味深く詠んでいったが、最後の50ページぐらいで怒涛の展開
    そんなふうに繋がっていたのかと納得した

    しかし、4人の女性を殺した犯人○○の心の闇が自身の口から明かされることがなかったのが残念だった
    生い立ちや家族構成などが詳細に描写されていたので、想像はできるが・・・

    毎日少しずつ読み進めていくのが楽しみな日課となった
    読了の達成感もひとしおだ

  • 650ページとなかなかのボリュームだけど、続きが気になり一気読みしました!それぞれの登場人物からの視点で描かれていて区切りも短いので読みやすい。
    3人の被疑者はもちろんだけど、周りの関係者も怪しく感じてしまい疑心暗鬼に笑
    展開も早くてハラハラドキドキしました。

  •  とてもおもしろかった。600ページを越える分厚い本であるが、飽きさせずに睡眠時間を削って数日で読了した。
     連続殺人事件をおもに警察・刑事の捜査をとおして描き、次第に容疑者を次第に絞り込んでいくという王道ストーリーであるが、それをこんな長編作品に仕立て、一気に読ませる作者の筆力に大いに感心する。
     警察・刑事の仕事の進め方、用語、言葉使いなどがどれだけ現実に近いかわからないが、実際に存在する組織・人ではないかと思えるほど生き生きとしているので、読者である自分もいつのまにか彼らを応援していたほどだ。
     こんなに読書にのめりこんだのは久しぶりである。別の作品も読もうと思う。

  • 久々の奥田英朗さん
    ウキウキしながら読み始めたけど…長かったぁ
    初めは登場人物多すぎて(特に警察)
    集中してないと、わけわからなくなりかけた
    でも後半は、無意識に集中できた

    犯人候補が3人いるのに
    絶対こいつやろ?と思えず
    最後まで想像の上をいった内容で
    「すげー」の一言

    ただ犯人の供述がないまんま
    終わったのは物足りなさが残った

    明菜さんかわいそうすぎた
    (名前が明菜だけに幸せになってほしかった)

    松岡さんも行き過ぎた面もあったけど
    色々心配で早く犯人に真実を語ってほしいと
    つくづく思わされた

    今日子さんは、このまま良き記者に
    なるんやろね

    感想書いてて気づいたけど
    明菜と今日子って!!
    ↑若い人には分からんか(笑)

    映画化するなら刈谷を
    鈴木亮平さんにお願いしたいなぁ
    (年齢あわんけど)

  • 長くて読み応えがあるような気がするけど、読み終えると、こんなに長くなくて良かったんじゃないかと感じる。

  • kindle本のまとめ買いで。本屋で平積されている時から「えらい分厚い本だな」と興味があったのですが、いざ読んでみるとそのページ数を感じさせないほど面白い作品でした。
    全体としてはある殺人事件の捜査を軸に関係者の人間模様を描くような警察もの。10年前に起訴まで持ち込めなかった悔恨の念をもった警察側の意地、いまは引退している元刑事、過去の被害者遺族、新人の新聞記者、さらに容疑者となる3人の男。。。などなどが、複雑に絡み合いながらストーリーが展開されていきます。が、作者が丁寧に書いているせいか、飛び飛びで話しが進む中でも、きちんと頭には残っていて、違和感なし。最後は、「こいつが十中八九犯人だろ?」という流れも、なかなか明確にはならない中での、新事実が出てきて、「なるほど!そういうことね」という納得感もあり、秀作だと思いました。この手のものは「64」もそうですが、警察の男臭さとかも踏まえて好きなジャンルでした。文句なし★5です。

  • 最近では『コロナと潜水服』で感動させてもらった奥田さんの作品。今回は話も重厚だし、本の厚さも重厚の648ページ。
    本が立ちます。びくともしません。
    これだけ厚い本は私も何年ぶりに読むのかという感じ。でも一気に読ませられてしまったのは、さすが奥田さん。

    河川敷で相次いで発見された若い女性の死体。10年前の未解決事件とそっくりなことから、警察、マスコミ、当時の被害者遺族、容疑者家族をも巻き込んでの群像劇が読ませる。

    個人的にはスナックのママ関連で描写される<地方の閉塞感>みたいなものがとんでもなくリアルで、肌で温度を感じられるその描写にどっぷりつかった。また多重人格キャラのところは私的に興味深かった。

    とにかく事件にかかわるあらゆる方面の人たちをとても丁寧に描いているので、本は重く手首が疲れても一気に読まされてしまった。

    ただ、最後、結局事件の動機ははっきりわからないんですよね。犯人はカンモクしているので。そこがすっきりしたほうが個人的にはよかったです。

    でも総じて良い読書時間を過ごさせていただき、感謝の一冊でした。


    ===データベース====
    同一犯か? 模倣犯か?
    群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見!
    十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。
    かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。
    娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。
    若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。
    十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか───
    人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説!

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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