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感想・レビュー・書評
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難解。でも代表的なテクストの実例をベースに、ヘブライ語の翻訳家:並木浩一と作家:奥泉光の対談形式で解説が進む。巧みな構成には感謝。再読が必至か?特に最終章の「ヨブ記は、訳者の新解釈を込めた秀作との評価。
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決して入門書ではなく、「分かる」とは深遠な奥義が解き明かされるという実に内容の濃い本だった。聖書学者とキリスト教の造詣の深い直木賞作家の対話で進められる構成である。そして聖書そのものが、友人との対話以上に神との対話の記録であることが、ヨブ記に関する二人の対話から明らかにされる。義人であったはずのノアの失敗、アロンのポピュリストとしての誤り、立派な先祖とは言い難かったアブラハム、ヤコブ、ダビデらの行い、国家の悪を告発するアモスなど…。現代の世相にも通じる話は楽しかった。そしてアダムの創造は普通の男女として造られたことが、多くの神話が国王などの創造から始まることとの決定的な相違であること、「男女二人は父母を離れ、一体となる」との宣言が往時の父権主義の古代社会では考えられない思想であることなど、旧約聖書の全く革命的な思想には、全く目が開かれたように感じた。
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