- Amazon.co.jp ・電子書籍 (419ページ)
感想・レビュー・書評
-
大変読みにくい文体。最後まで慣れなかった。
主人公が少年らしからぬハードボイルドな強さを持っており、家庭環境を見ても、どこからその強さ(肉体的・精神的)が出てくるのか、生き抜く術をどこで身に付けたのかが謎だった。時代遅れになるカウボーイの最後のフロンティアがメキシコで、車がビュンビュン走っている隅を馬に乗って移動する所が物寂しい。全体的に暗い雰囲気。その中でも、登場してくるすべての馬は美しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大傑作。
コーマック・マッカーシーの出世作であり、越境三部作の1作目を飾る西部劇小説。
西部劇小説ではあるが、舞台はフロンティアスピリット溢れる西部開拓時代……ではなくて1949年のアメリカ。
農場で生まれ育った16歳のジョン・グレイディ・コール少年は、農場が売り払われることがきっかけとなって親友のロリンズと共に馬と銃を手にメキシコに渡るという話。
車が走っていく横をカウボーイ姿の少年2人が歩いていくさまは非常に興味深い。
解説にも書かれているが、自分がいるのはここではないという孤独感、疎外感を強く感じる。そしてメキシコに渡るに連れて、彼らは自分の居場所を見つけていくように見えるのだ。
メキシコの雄大な自然がとても美しく描写されてはいるが、とても人を選ぶ文章である。
台詞には括弧は付けられず、誰が話しているかもわかりにくい。
更に一文も長くて、慣れないとかなり読みにくい。
だが、間違いなく印象的な読書体験として残る。
自分はコーマック・マッカーシーは『ブラッド・メリディアン』『血と暴力の国』『ザ・ロード』や『チャイルド・オブ・ゴッド』を既に読んでいたが、本著は一番読みやすく感じた。
コーマック・マッカーシー作品はどれも強烈で即物的な暴力描写が描かれるが、本著は比較的(とは言え、コーマック・マッカーシーなので当然強烈だが)軽い。
コーマック・マッカーシー作品入門ならまずここからが良いだろう。
それに他のコーマック・マッカーシーの作品群と比べても見劣りしない大傑作だ。