アンダーカレント (アフタヌーンコミックス) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • その本を選んだ理由
    細野晴臣がサウンドトラックを手掛け、リリーフランキーさんも出演する。そしてアフタヌーンコミックスの連載作品と聞いたら、読んでおかないといけないって思った。Amazonのレビューも評価たかかったのも後押しになった。
    筆者の紹介
    1967年生まれ、茨城県出身。2003年「ゴーグル」で、アフタヌーン四季賞夏のコンテスト四季大賞を受賞しデビュー。2005年に刊行された「アンダーカレント」は、フランス・アングレームで開催されるアングレーム国際漫画祭に、2009年度オフィシャルセレクションのひとつとして出展され、フランス語版も発売された。同年、パリ郊外で開催された「Japan Expo 2009」では、第3回ACBDアジア賞を受賞。そのほかの作品に「珈琲時間」など。
    最も印象に残ったシーン・一押しポイント
    21世紀の日本が舞台。先進国とは名ばかりになり、衰退しかしていない日本国の惨状をただただ描いていく。このあたりは好きな作品である「海街ダイアリー」そっくりだと思った。
    忘れていた、隠していた記憶を思い出すことよりも、失踪した旦那のことを許せるようになった余裕を得ていく過程が、興味深い。それは「成長」なんかじゃなく、目を逸らしていたものを見れるようになったということだろう。ただ、「逃避」が良くないとは言わない。「逃避」しなければ心が耐えきれなかっただろう。旦那がいなくなってからのかなえの周りの変化、出来事が過去を迎え撃つ準備期間になっていた。あと「低流」を見てしまったかなえはどちらにしろ元の旦那とはよりを戻せなくなっている、とも思った。
    今後の自分の行動や考え方の変化
     私だって本気で向き合って他人や社会をみることはできない。本音を言うのが怖い?相手を怒らせるのが怖い?忖度をしなくてはいけない?そもそもどうでもいい?たぶん、どうでもいいって思っている。ちゃんと本当のことを言えないのは相手のことを軽んじているからだろう。それはわかる。だが、それはやらなくちゃいけないことなのか、必要なことなのかは分からない。
     普通、「Undercurrent」といえばJAZZのBill Evansの名盤である。その作品のジャケットも沈んでいる女性が水の中、低流で浮かんでいる。JAZZ史上に残る名ジャケットでもある。とても美しい。
     漫画も細野晴臣のジャケットもJAZZのアルバムにオマージュしている。(その時点でよく細野晴臣さんが引き受けたって思う。彼ならBill Evans「Undercurrent」から使えって言いそうなものだ。)
     そして登場人物の一人に同姓同名の菅野よう子がいる。JAZZをオマージュにしている作家が菅野よう子を知らないわけないので、間違いなくあの「菅野よう子」を意識している。と言う意味でもとても音楽的な漫画である。日常に沈んでいるのはなにか「記憶」「愛」それとも「狂気」?死ぬ前に自分の中にある「Undercurrent」を見ておきたいものだ。たぶん、本音を言うのも何も自分自身がその「本音」を知らないって言うのが大半だろうから。

  • 銭湯という生活感ある景色が舞台でありながら、冒頭から漂う、どこか不穏な雰囲気。それは主人公の過去と直近の事件からくるものであり、それらが通低音のように作品の根底を流れ続けている。読み進むにつれ、主人公への救いを求める自分がいたが、納得感のある結末だった。

  • 上質。

    丁寧で柔らかい描写。大人向けの静かな物語。映画化されるとのことでひとつひとつのキャラクターが個性的かつ、リアリティをもって描かれていて、映画ファンじゃなくても実際のキャスティングを考えてしまうのではと思いました。続編なんてないんのだろうけど、主人公が素敵でしたのでもう少し一緒にいたいなと思いました。

    できるだけ、多くの人に読んでもらって他の方の感想も聞けたならなと思いました。

  • 呑み友達に、「是非とも映画を見て欲しい」と言われたので、予習用。

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