言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書) [Kindle]

  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • 非常に面白かった。
    「言語の本質」というこれ以上ないくらいデカいテーマをタイトルにぶち上げた新書。どこまでとっつきにくいものか…と想像していたら、最初に出てきたのはオノマトペの話。あの、“くるくる”とか“ドキドキ”とかのオノマトペ。それが言語の本質にどんな関係が?と思って読み進めてみたら、なるほど言語の本質とはオノマトペにあったのか、と筆者たちの主張に思わず膝を打ちたくなった。

    とにかく筆が上手。
    まずオノマトペが言語の本質?とびっくりさせて(結論をまず言う)、そこからその主張を裏付ける根拠を肉付けしていく。まるでミステリ小説のように次の展開が気になりどんどん読み進めてしまった。
    ベストセラーになったのも納得。

  • 話題の本だったが、私には難しすぎる。というかここまでの興味はない。

  • アブダクション推論
    推論しながら学び、学習方法も学びながら、体系立てていく営み

  • オノマトペや音象徴、子どもの言語習得におけるアブダクション(推論)の分析や考察を中心に、言語というものがどのようなものかという壮大な問いに答える一冊。
    難しい内容も含み決して読みやすい本ではないが、研究事例が豊富でそれを理解するための例も多く載っていて、たいへん読み応えがあった。

  • とても、とても読みやすかった。

    普段自分が頭の中で考えていることを
    言語化され、定義されるのは快感があるなと思いました。

    私は、この手の新書を読むのがとても苦手で、
    読んでいると自分の頭の悪さや、
    学生時代に国語がてんで苦手だったこと、
    文字を読むのが遅いから、
    読むのが嫌になった過去があることなど
    色んなことを思い起こし、
    その度に「私はやっぱりダメなやつだ」
    と思う感覚に陥ることが多かった。

    今回この新書を選んだのは、
    ・読書量を増やしたい
    ・偏らず様々なジャンルの本を読みたい
    ・知識を増やしたい
    などの思いに駆られ、その上で何を読めばいいか
    迷っていたときに、ブクログの新書大賞を受賞された
    本作がたまたま目に止まっただけでの話。

    単純な理由で選んだからこそ、
    この本の面白さに倍、驚いたんだと思いました。

    具体的なエピソードとしては、
    「あ」は「い」より大きいものを指すことが多く、
    それは英語の「a」「i」とも少なからず対応し、
    それらの理由として、発声の際の喉の動きの大小が
    起因している部分もある、という話がとても感慨深かった。

    日テレの「世界の果てまでイッテQ!」で、
    出川哲朗さんが英語圏の国で街の人たちに質問をして、
    お題に出された答えを出すというコーナーがあって、
    私はそれを見るたびにクスクス笑ってしまう。

    出川さんは英語話者でなく、質問を投げかける
    英語話者に対してはカタカナ英語や日本の英語風で質問し、
    その回答の断片でだいたいの予想をつけて、
    なんだかんだで答えに行き着いてしまう。

    この前の放送でも、目的地の寺院について、
    "「ツルツルボーイズ」が「メニメニ」いるところ"と
    説明していた。ここにオノマトペが1つと
    造語のオノマトペが1つ使われている。

    この言葉から、本書が分析している
    "子供の言語の理解には、オノマトペが必要だ"という
    事実を垣間見た気がした。

    オノマトペ研究をする著者の言語に対応するアプローチは、
    段階を踏んで深く深く掘り下げて解説されている。
    "対称性推論"や"アブダクション推論"などの
    話に至るまでに、たくさんの具体例を含めて
    分析されたこの文章、忘れないでいたいと思いました。

    最後に、この感想すらうまく書けない自分に対し、
    まだまだ勉強を続ける意味があると思わせてもらえました。

  • ■感想
    ◯疑問に思って、そのたびに解を見つけ出そうとしている。姿勢がすばらしい。読んでいて楽しい。
    ◯過剰一般化バイアスを持つことが、人間に本質的に備わった力であるのが印象的。間違いも犯すけど、ブーストラッピングサイクルで学んで知識を更新する基盤にすることもできるとあった。

  • 【企画展示】姫路大学学生の 読みたい本 読んでほしい本
    姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→
    https://library.koutoku.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB00003826

  • 記号設置問題はついぞ理解できずじまい。
    オノマトベの実例や子供の言葉獲得への例がとても楽しい。
    言葉って単に記号かと思っていたけれど、おもしろいね。猫のにゃあにも種類があるし、鳥のさえずりにもしゅるいがあるけど、言葉とは言わない理由がわかりました。

  • オノマトペから見る言語間比較から、記号設置問題、ChatGPT、ブーストラッピングサイクル、アブダクション推論と、これまで一考だにしたことのない言葉、推論の流れに、素人の脳がグイングイン揺さぶられる気持ちいい一冊。
    頭のよさそうな本を読んで満足したいという、知的好奇心はなくはないが、私のような知的弱者には最高の一冊

  • 「ブートストラッピング・サイクル」で、人間の子どもの学習能力を説明したところは、説得力があり、この気づきは感動的なのではとさえ思えた。
    このサイクルを駆動する「アブダクション推論」の説明も、なるほどと納得でき、チンパンジーのアイと人間の子どもの比較は興味深く分かりやすかった。
    オノマトペから始まり、言語の起源や進化、習得にまで話しが及び、コンパクトな新書としてはかなり内容の詰まった読み応えのある本だと思う。

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著者プロフィール

今井 むつみ(いまい・むつみ):1989年慶應義塾大学社会学研究科後期博士課程修了。1994年ノースウエスタン大学心理学博士。慶應義塾大学環境情報学部教授。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学。著書に、『親子で育てる ことば力と思考力』(筑摩書房)、『言葉をおぼえるしくみ』(共著、ちくま学芸文庫)、『ことばと思考』『英語独習法』(ともに岩波新書)、『言語の本質』(共著、中公新書)などがある。

「2024年 『ことばの学習のパラドックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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