八月の御所グラウンド (文春e-book) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 十二月の都大路上下(カケ)る
    高校女子駅伝の話です。万城目さんの文章は相変わらず映像としてするすると頭にはいってきます。主人公があり得ないくらい方向音痴と言うのも面白いし、変なキャラが駅伝という真面目なテーマの中に違和感なく入ってくるのが面白いです。万城目ワールドっぽさを残しつつ青春小説にちゃんとなっている。新しい万城目作品。でも「バベル九朔」のようにぶっ飛んだ作品を期待しています!

    八月の御所グラウンド
    6チーム対抗の草野球大会の話です。ファンタジックな要素がさりげなくちりばめられています。まるで夏の京都にいるように感じられます。万城目さんの映像として浮かび上がる描写が京都に読者を引き込みます。こんな爽やかな話が書けるのかと思いつつも、やはりぶっ飛んだ話を期待してしまいます。

    万城目さん、直木賞受賞!
    まさかのこの作品。
    まだまだ面白くて好きな作品があります。
    本屋大賞にノミネートされてはいたものの、
    芥川賞直木賞は候補にとどまっていました。
    受賞しないのが今まで不思議でした。
    最高に面白かった「バベル九朔」にも誰か賞をください!

  • 昔、「となりのトトロ」を繰り返し観た。今、観ても夢中になれる。
    この二つの作品にもファンタジーの要素がある。
    一つ目の都大路の駅伝の話にはひきこまれた。私自身も沿道で熱く応援したことがあったから。方向音痴の一年生のピンチランナーの心理描写がいい!青春の瑞々しさを感じる。ファンタジー要素があまり必要ないぐらいに。
    でも、その話はあっという間に終わってしまい、謎の草野球の話になってしまった。この話と駅伝がどう繋がるかが楽しみだった。
    でも、二つはそれぞれ京都という部分とファンタジーしか共通点を持たずに終わってしまった。
    ファンタジーは説明しすぎるとファンタジーの謎めいた面白さが半減する。そう感じた作品だった。

  • 万城目学氏の久しぶり京都の物語。
    京都御所のグラウンドでたまひで杯という教授達の野球チーム対抗戦に出ることになった朽木。
    人数が集まるかもわからない早朝野球にイヤイヤ参加したが、なぜか人は来る。
    奇跡のようなメンバーの一人は伝説の野球選手だった。

    終盤にホロリとしまして、じわーっと温かい気持ちで読み終えました。

    万城目学氏、ホルモーみたいなおふざけ青春ストーリーも好きだけど、深みを感じる青春ものもとても良かった!

  • 令和6年第170回直木賞受賞作

    12月の都大路を舞台とする女子高校駅伝と8月御所グランドを舞台としたへっぽこ朝野球大会。いずれも万城目ワールドのファンタジー作品となっており面白く一気に読めましたよ。万城目さんは今回6度目のノミネートで念願の受賞とか

  •  駅伝も野球もスポーツを通して、人と人の絆を確かなものにするところが、爽やかで素敵なお話だと感じた。特に、シャオさんがお気に入りで、何度も吹き出してしまった。「オリコンダレ」は忘れられない。
     万城目先生の作品は初だったので、自分にはサプライズだったのだが、不思議要素が盛り込まれる作風なのだろうか?お盆だからなのだろうか?

  • いわゆる万城目ワールドを久しぶりに読んで懐かしかった。テイストとしては、鹿男あをによしとほとんど変わってないかな。まあ面白かったけど、平均的な作品で、この作品で直木賞かとも思う。直木賞は過去のノミネート回数や実績とセットで選定されることも多く、直木賞受賞作が必ずしもレベルの高いものではないことは認識済なので、しょうがないかも。戦争で散った若者たちを生者として蘇らせるモチーフは、日本人として胸に響く展開であり、直球すぎるのかもしれないけど、万人に受ける作品としては優れていると思う。

  • 学生時代にちょっと御所でお昼寝したり、新京極に友達と買物に行ったりした、オーバーツーリズム以前の穏やかな京都を思い出した。
    八月の御所グラウンド、展開は読めるのだけど、それでも泣いた。
    優しいお話、夏休みにまた読み返したい。

  • 二篇の無関係な京都の話。

    一つ目は、駅伝で補欠の方向音痴の女の子の話。
    新撰組の亡霊と競争する。一年生なので、来年も来ようと誓う。

    二つ目は、お盆の京都で暇を持て余していると、大学の友人に誘われて朝6時から野球をする。
    野球の試合はたまひで杯といい、京都の元舞妓さんのママさんを奪い合って行うものだった。
    が、ママさんは老婆なので争う人たちも年老いすぎて、完全に代理戦争。人数が揃わないことはないらしい。沢村賞で有名な沢村栄治や戦死した人達とチームを組んで野球をした。

  • 京都を舞台にした、学生たちの不思議な体験を綴った作品。駅伝大会にでる女子高生の話が短編として収められている他、夏休みに野球大会に駆り出された男子大学生の話が表題作として収められている。

    この作者の作品は久しぶりに読んだが、不思議な出来事の描写がはっきりとしていて、わかりやすい。
    出来事に遭遇した前後の主人公の心境の変化もきれいにまとまっていると感じた。
    駅伝の話は幽霊?が出てきた理由や女子高生たちに与えた影響が効果的に感じられなかったので、今ひとつという印象を受けた。世界観やキャラクターの造形は好き。

  • 2編の中編が収められているのだが、この2編間に物語的つながりがあったらもっと面白かったのにな。
    万城目氏ならではの世界観はありつつも、ちょっとあっさり目な印象でした。

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著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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