世界はなぜ地獄になるのか(小学館新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 昔は耳にしなかったのに、ここ数年よく耳にするのが
    「私らしく生きていく」だとか「自分らしく○○を楽しむ」みたいな
    全ではなく個のリベラル社会的な考えが浸透しているというか、もはやそれが当たり前になった。
    その反面、自由度が高ければ高いほど
    色んな課題、人種や思想、差別や偏見、それこそLGBTQ?も。
    全部ひっくるめて、OKみんな好きにして!とは言えない世の中になっていると感じる。
    自分には全く関係ない人をSNSで叩いてみたり、ちょっとした行動や発言が大炎上になりかねない。
    最後の方に筆者が書いている通り「天国はすでにここにある」とも、もちろんなんだか分かる気もする。
    昔より遥かに、そこ20年前とかよりも生きやすいというか発言しやすいから。
    ただ、表裏一体で天国もあれば一寸先は闇であり地獄もあるなと思った。
    関係ないけど、ナウシカの原作をふと思い出す。
    清浄と汚濁、命は闇の中のまたたく光。

  • 難しかった…。

    リベラル=自分らしく生きたいという価値観。
    今はリベラルの変化の中にいるが、先進国を中心に激しいバッククラッシュが起きている。排外主義、右傾化、ポピュリズム。
    リベラルと対立しているわけではなく、リベラル化の帰結であり、一部。

    ポリコレ、ポリティカル・コレクトネス=政治的な正しさ

    欧米はステイタスの高い役職の死亡率が最も低く、ステイタスが低くなるにしたがって死亡率が上がっていく。
    しかし、日本は中間管理職の死亡率が高い。
    上にも下にも気を使わなくてはならないので、ストレスが健康を害している。

  • 他の著作と主義主張が一貫してて信憑性がある。どうやってもストレスを感じる世界の仕組みを人間の特性から論理的に説明している。
    さまざまな地獄の成り立ちを具体例を元に紹介しているがどうやってそこから抜け出すかは最後の2ページで見解がまとめられている。結局地獄を天国に変えるには自分次第という部分はやはりそうなるよね、という感じ。

  •  ものごとの本質にクールに切り込んでいく著者の筆致に感服する。読んでいて目を逸らしたくなるような内容や、考えるのも疎まれる事実にも堂々と立ち向かい、きちんとした論理展開での分析は目から鱗が落ちる思いである。参考文献の数からもわかるように、よく勉強して書かれていることにさらに敬服する。

  • 「リベラル化が生み出した問題を、リベラルが解決することはできない」印象的な一文から本書は始まる。橘玲さんが書いたこの本は、リベラル化によって起きる問題について述べた『上級国民/下級国民』『無理ゲー社会』の続編である。「誰もが自分らしく生きられる社会」を目指す社会正義の運動が、キャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していく現象を考察している。
    「地獄」のように見えるこの世界を生きていく方法は、世界の仕組みを正しく理解し、うまく適応することだけだ。すでに「天国」である部分をうまく活用して、世界を楽しく生き抜こう。

    印象に残ったところメモ。
    ・わたしが自由なら、あなたも同じように自由だ。その結果、ひとびとの出会いは刹那的になって、長期の関係をつくることが難しくなる。
    ・「敵」の言論・表現の自由を否定する者は、同じ論理によって、いずれ自分の「自由」も否定されることになるだろう。...誰も不快にさせない表現の自由なら北朝鮮にもあるだろう。誰かを不快にさせるときにこそ、言論・表現の自由は重要なのだ。
    ・この「わたし」は社会的な関係性の網の目のなかにしか存在し得ない。「わたし」とは、いわば他者の評価の総体なのだ。(→これを自分側の視点から見ると『私とはなにか「個人」から「分人」へ』にでてくる分人の概念になる。)
    ・人間の能力のなかでもっとも驚くべきもののひとつは、このアイデンティティが世界へと拡張され、他者と融合することだ。
    ・「リベラル化」が進むにつれて犠牲者の体験が重視され、国家の責任を追及するハードルが下がったのだ。
    ・自分の身を守る方法は、リアルでもバーチャルでも同じだ。もっとも重要なのは、こういう「極端な人」に絡まれないこと。そのための最低限の原則は、「個人を批判しない」だ。
    ・キリスト教徒は地獄をつくりだすことによって救済への不安を生み
    それから逃れられる唯一の方法として自分たちのゲームを提示した。同じように、新左翼の活動家たちは、偏見だと避難してもよい条件を根本的に書き直し、単に白人や男性であることが罪の兆候になるようにハードルを下げることで地獄をちらつかせる。こうして救済への不安を生みだしたうえで、自分たちの運動を唯一の救済策として提示するのだ。
    ・「どうすれば地獄から天国に行けるのか」「天国はすでにここにある」

  • 橘さんのファンとしては、従来作とあまり代わり映えなかったかな。キャンセルカルチャーや多様性の進む社会に対する言及はあったけど、そこから先に進めなかった。

  • 昨今のSNSによる炎上、キャンセルカルチャーについて、実際にあったことをもとに考察する一冊。
    とにかく分かりにくくて読みにくい本だった。
    やたらと鉤括弧が多くて読む流れが中断される。

    要するにこの地獄に巻き込まれないためには、炎上しそうなネタには触れない、SNSは一切やらない、触らぬ神に祟りなしという結論。
    そんな当たり前のことを数々の論文を引用しながら長々クドクドと解説しているだけの本だった。

  • リベラル化が進むとなぜ息苦しさを感じるのか。それは、「礼儀正しさ」がエスカレートし続けているから。また、平等や公正の基準は見方によって異なり、一定の基準で測ることができない。

  • 確かにSNSではすぐ難癖つける人が多くて嫌になることが多いけれど、それは脳科学的に説明できることで自然の成り行きだと知れて良かった。

    アメリカは歴史的にも日本より多様な人種がいるから差別の問題は大きな問題なんだろうな。

    リベラルとか左派とか右派とか難しい、、

  • SNSで炎上する世界を論理的に解説

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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