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感想・レビュー・書評
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よしながふみによる久々の短編集。なんと16年ぶりらしいです。よしながふみは人間の些細な感情を描くのがずば抜けて上手い人ですが、本作でも人の心の温かさ、哀しさ、切実さが見事に表現され、登場人物たちの繊細な心情が物語に深みを与えています。
全部で5作の短編が収録されており、話は現代が舞台だったり、大正や江戸時代の話もあったりと、時間も舞台もバラバラ。唯一共通しているのは「環」と「周」という名のふたりを描いているという点。それは友愛であったり、家族愛であったり、恋愛であったりとかたちは様々ですが、彼らの「関係性」から浮かび上がってくる「人生のきらめき」は本当にすばらしいです。人生にはやるせないことや歯がゆいことが沢山あって、思い通りにならない中で「じゃあ何故私は生きているのだろう」そんな風に考えることが誰しもあるはずです。この短編集はそんなままならない人生における”それぞれのきらめき”を描いているのだと思います。『大奥』や『きのう何食べた?』ともまた違う味わい深さがあり、全編読み終わるとなぜこの形式になっていたのかがわかり、余計に感動。それら全ては作者の深い洞察力と積み上げてきた表現力の成せる技だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
時空を超えて、性別を超えて、様々な立場を超えて深い関係を持ち続ける環と周のお話。環はいつも何らかの形で周をサポートするような立場になることが多い。周はちょっと不器用だけれど、懸命に生きる、そういう魂。面白かった。もっと前世の記憶なんかが少し残ってて、ちょっとずつ前進してたりしたらなお深く読めるのかもと思いつつも、2人をつなぐ縁だけをみると、様々な関わり方があり、どれも同じように尊いものなのだと思わされた。
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人は死んでしまうが、経験した幸せな瞬間はなかったことにはならない。生涯の友の助けになれて彼女は不幸だっただろうか?自分を大切に思ってくれる隣人に出会って幼い子は不幸だっただろうか?我々のささやかな人生は一つ一つがみな素晴らしい物語であると、この漫画は語りかけてくれているような気がする。
環と周以外にも毎回輪廻転生しているキャラいるなと思った。あーちゃん、照子、斎藤、洋食屋のお母さん、馬渕さん、この方もずっと環と周についてまわってんじゃないかと。名前変わってるけど。 -
環と周。てんでバラバラのエピソードのように思えて、環と周の意味がわかったら、なるほど。と。文明開化の環と周。周の夫の「友か」のくだりに、新時代、そうなのか。と。親子ほどの年の差であったり、同性の友情であったり、ままならぬ関係であったり。どの時代でも近くにはいるのに、こう歯車が噛み合うような関係にはたどり着けなくとも、巡り巡るその関係をなんと呼べばいいのだろう。こういう話、よしながさんは上手に描く。
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切ない話もあるけどこういうのは好きだな。貝殻節は米子で開催された学会の懇親会の余興で歌ってくれた大先輩がいたっけ。歌詞が長年の謎だったんだけどこういう内容だったんだ切ないなあ。
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様々な時代の、環と周と云う名を持った二人の物語。山本周五郎の短編を読むような味わい。
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よしながふみの久しぶりの新作。
江戸時代に添うことのできなかった環と周が、
時を超え、再び、何度も何度も巡り会う。
決して恋人同士や夫婦ではなくても・・・
互いに惹かれあい、想い合う。
いい話だ・・・
・・・よしながふみさんも、そういう御年齢になったと云う事ね。
とよしながふみファン歴20年となったシニアの感想 -
だいぶ前に明治時代編をたまたまどこかで読んでいて好きな作品だったものが単行本になっていたので即買い。オムニバス(かな?)だったんですね。いろいろな関係性で綴られる環と周の物語。一話一話が短いページなのに小説を一冊読んだような満足感がある。ものすごく好きっっ!!!!