こころ [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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本棚登録 : 198
感想 : 19
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  • 青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • 大きく分けて「先生と私」、「両親と私」、「先生と遺書」の3部構成。大学に通っている主人公の「私」と、主人公が尊敬する「先生」の話。

    「先生と私」で多くの伏線を置いている。そしてその伏線を「先生と遺書」で回収する。先生の人生と主人公の人生の対比のために、両親と私が描かれているという印象だった。

    金と恋愛はときに人をどん欲にし、人生を狂わせるのだということを深く感じた。またこの時代において天皇という存在が非常に重要だったのだということを感じさせる内容だった。ただ主人公がその後どのような人生を歩んだのかが書かれていなかったことは非常に残念だった。

  • 「明治の精神」

    道だの何だのという理由で他人を顧みず「向上心のないやつは馬鹿」な時代・・・
    今の日本を作ってくれた人たちながら、自分はそんな時代には生きられない。

    先生は奥さん(お嬢さん)をきれいな花として見ていたようだが、自分との関係性の中で自分たち夫婦をとらえていない。ピュアという言葉で片付けるには非情なものの見方。

    後半は読んでいて苦しい

    ところで、西郷隆盛は江戸の精神(武士の精神)に殉職した人かもしれない。

    兄や父が、立派な先生なら世間ですごい仕事をしているに違いないと考えているところ、人は自分の能力を最大限に発揮して世の中に貢献しないと駄目だという考えは、明治に限らず最近まで続いているなぁと。

    若い人を評する言葉が今と変わっていない点にはニヤニヤしてしまう。

    頑固でまっすぐ、道を進むためなら自己犠牲どころか周囲さえも犠牲にすることを厭わない。

    よく明治の人の美談があるけど、その裏には周囲の犠牲もあったんだろうかとふと思う。

  • 何かに直面したときに思うことは昔も今も変わらないなぁと思う。ただそれを文字にしたときに、どうしてこうも昔の書籍は色鮮やかなんだろう。淡々と表現される中に、説明せずとも伝わってくる感情の動きがリアルで、自分の心の深い部分で感情を揺さぶられるような感じでした。

  • 高校時代に教科書読解で読んだきりだった話。9月13日が乃木大将が殉死なされた日ということを聞いたので、青空文庫版でもう一度読み返してみました。

    高校生の頃は先生-お嬢さん-Kの恋愛事情、三角関係にばかり目がいっていたのですが、もう一度通して読むと少々印象が変わりました。自ら死のうと決めながら生き続けるとはどんなものなんだろうか。

    数年後にもう一度読み返してみたいと思います。

  • 青空文庫で1位になっていたので軽い気持ちで読み始めた。

    上:主人公、ホモじゃね?
    中:あ〜わかるわかる……
    下:うっわぁぁぁぁぁ……

    って思いました。
    上でたくさん散りばめられた付箋。
    中で起こることと先生の心境の時系列。
    下で明らかになる先生の秘密。

    計算されてるな〜!と思いました。最後まで読んでから、もっかい上だけ読みました(・∀・)

    そしてこころは私の中では明治時代のBLに思えちゃいます…ってそうゆう見解も発表されてるみたいですね、びっくり!笑

  • 去年、この小説の特集テレビ番組を見て以来、ちゃんと読み直さねばと思っていて、細切れ時間を使って読み終えた。三角関係や自省の心境は解らずでもないが、明治時代特有の精神性は、どうにも理解が難い。敢えて現代っ子的に鑑賞すると、男3人(「私」と先生とK)の時代的な形而上さ加減と、女性陣(奥さんと奥さんの母親)のクールな現実感の対比が眩しい。

  • 物語中盤までは「何だか回りくどい、ダラダラとした作品だな」と思いならがら読み進めていたんですが、終盤でちょっと合点がいきました。

    人のこころは移ろいやすいもんですな。

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    青空文庫版で、誤植と思われるところです。

    上 二十四
    >> 帰ってからも父の病気は
    他の本では、「帰ってからも父の病気の事は」

    上 三十四
    >> 席を立とうとした時、
    他の本では、「席を立とうとした時に、」

    中 四
    >> ちょっとまた将棋でも
    他の本では、「ちっとまた将棋でも」

    中 十五
    >> 私は自分で質問をしておきながら、
    他の本では、「私は自分で質問しておきながら、」

    中 十五
    >> 父が変な黄色いものも
    他の本では、「父が変な黄色いものを

    中 十五
    >> 宅(うち)の事を監理する気がないか
    他の本では、「宅(うち)の事を監理する気はないか」

    下 十一
    >> 唄(うた)わないのではありませんが、
    他の本では、「唄はないのではありませんが、」

    下 十四
    >> それが明らかな矛盾に違いなかったのです。
    他の本では、「違いなかったからです。」

    下 十五
    >> ことに今度の事件については何もいわなかったのです。
    他の本では、「何にもいわなかったのです。」

    下 二十二
    >> この姉とKとの間には大分
    他の本では、「Kの間には」

    下 二十六
    >> 行き過ぎる場合もあります。
    他の本では、「場合もありました。」

    下 二十九
    >> 或(あ)る時はあまりKの様子が
    他の本では、「あまりにKの」

    下 四十三
    >> その日ちょうど同じ時間に
    他の本では、「その日はちょうど」

    他の本とは、岩波書店、筑摩書房の本です。

    以上。

    • ekzemplaroさん
      プルーフリスナーの申し出がありました。booklog を見て申し出て頂けたのかどうかは分かりませんが、ここに書き込んで、すぐに申し出があっ...
      プルーフリスナーの申し出がありました。booklog を見て申し出て頂けたのかどうかは分かりませんが、ここに書き込んで、すぐに申し出があったので、驚きました。
      2013/12/06
  • 先生と私、両親と私、先生と遺書、の三部構成。明治が終わり大正へと変わったことがどれだけのインパクトだったのか今の私には実感を伴わず理解が難しいが、それを差し引いても迫るものがある。
    私が見ず知らずの男を先生と慕い押し掛けるのは違和感があったけど、一目惚れだとすると私は納得。

  • 人の儚さが美しく優しい文章で書かれているのでどんどん引き込まれていきます。先生の妻への想い、罪への想い、主人公の先生への想い、考えれば考えるほど切なくなっていきます。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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