心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」 角川SSC新書 (角川SSC新書 98)

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  • 角川SSコミュニケーションズ (2010年5月10日発売)
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メッセージの核心にあるのは、自分の心に対する観察力とそれに伴う集中力を高める訓練をしましょう、ということ。

「感情表現が豊かな人」というのを日本人は礼賛する傾向にあるけど、感情に振り回されることで人間の精神は容易に崩壊する。人間の心は、放っておくと未来への不安、過去への悔恨に引き裂かれ「心ここに在らず」になってしまう。

人間の心が、如何に無節操なイマジネーションを同時多発的に、そして絶え間なく生み出しているか、どれほどそれに振り回されエネルギーを徒らに消耗しているか、という指摘に首肯することしきり。

仏教にも通ずることだけど、結局のところ人間を苦しめてるのは外界の出来事というよりは、人間が心の中で暴走させてしまう内的なイマジネーションなんだという問題意識を、この本を読んで改めて強くした。

天国も地獄も、結局人間の心の中で作り出されるんだ。

心を今ここという一点に集中し、イマジネーションの野放図な暴走を抑制すること。その為の自己観察力と集中力を高めること。

今ここへ、24時間100パーセント集中するのはやはり難しい。しかし、歩くときは右足左足を交互に前に出すという事に集中するとか、息を吸うときに、体内の空気の流れに意識を集中するとか、そういった小さな実践から始めてゆけば良いのだと思う。

図書館で軽く手に取ったが、予想以上に良い本だったので購入した。

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感想投稿日 : 2018年12月1日
本棚登録日 : 2018年12月1日

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