そもそも童話ってなんだろう?
goo辞書によると
『子供のために作られた話。昔から語り伝えられてきたおとぎ話や伝説・寓話 などを含む』
なんてなってます。
じゃあこの小川未明童話集は?
確かに子供のための物語なんでしょうけど、非常にシビアなんですよね。
けっして子供向け・子供だましで終わらず、大人が読んでも楽しめる作品集になっているなと。
そしてだからこそ子供にも響くんだろうなと。
教訓めいた作品というよりも、現実をシビアに描いた厳しさがそのままメッセージになってしまっているというような印象を受けました。
でももちろん厳しいだけじゃなくて、物語の奥からは優しさや愛情がしっかりと伝わってくる、そんな作品集でした。
※ネタバレ無しでの感想ですが、ここからあえて一作品のネタバレをします※
※気になる方や、何よりめっちゃ長くなるのでそういう方はご注意※
『ある夜の星たちの話』というお話なのですが、ざっと説明すると……
深夜、お星さまたちが地上の暮らしを覗いています
そこには、母一人、子供三人の家族が
下の子はまだ乳飲み子で、夜中に何度も起きて母はその世話を
姉と兄は幼いながらも働きに出て家計を支えています
それを見たお星さまは、せめて夢の世界では楽しくありますようにと祈るのです
翌朝、早くから目覚めた家族は、それぞれを思いやりながらまた厳しい毎日に向かってゆくのです
というお話。
もう読んでびっくりしちゃって!
おとぎ話的な劇的な大逆転なんて何もなくて、あるのは「いい夢が見られますように」という祈りだけ。
朝にはまたこの現実を生きていく、という終わり。
でもそこから感じる温かさ、身を寄せ合う家族愛の美しさといったら!!
正直、前半に書いた感想分も、この一編の感想にかなり引っ張られているかなという部分もあります(笑
全編を通して小川先生の芯を感じる作品集、とても面白かったです。
- 感想投稿日 : 2024年3月20日
- 読了日 : 2024年3月19日
- 本棚登録日 : 2024年2月19日
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