前半はだらだらと、主人公の日常生活をとりとめなく追っていく感じで、ページをめくる手が鈍くなりがちでしたが、後半は物語がある種スリリングに展開します。
その緩急を評価することもできますが、前半がもっとスリムであってもいいんじゃないかなとも思います。
この時代の男性の気持ちの有り様というのは、(なぜかいつも)脆くてそれが魅力的に感じます。当時のみんながこうだったのか、それとも文学の担い手がそうなりがちだったからなのか分かりませんが、今の時代の私たちがもっている、そういう傷つきやすい部分が強調して表現されることで、真に心を揺さぶられるような気がします。
読み通してみると、どこか『人間失格』にも似た要素が見いだせました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年4月25日
- 読了日 : 2021年4月25日
- 本棚登録日 : 2021年4月20日
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