よだかの星 (日本の童話名作選)

著者 :
  • 偕成社 (1987年12月1日発売)
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本棚登録 : 1060
感想 : 99
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醜い鳥と呼ばれるよだかは周囲の鳥から差別され、鷹からも私の名前を使うなと言われ、散々な暮らしだった。
生きることに失意したよだかは食料である昆虫が喉を通った時、酷く辛い感情を覚えた。
昆虫は毎晩僕に殺され、そして今度は私が鷹に殺される。もうこんな辛い思いはしたくないと遠い空の向こうへ行くこと決意する。
空の向こうの星を目指し羽ばたくが、遂に力尽きてしまう。酷くボロボロになった体を癒すことなく、少し微笑みながら死んだ。
しばらく経ったあとよだかは目を覚ますと、隣にはカシオピア座がいた。天の川を背に今もなお輝き続けている。

よだかは「自分の生は犠牲の上で成り立っている」という自然の摂理に耐え難く、自己犠牲する事で自分の生に意味を見出そうとした。それは自己犠牲の美学とでも言うのだろうか。宮沢賢治の死生観には共感し難いが面白い作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年12月19日
読了日 : 2021年12月19日
本棚登録日 : 2021年12月19日

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