小説 君の名は。 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/メディアファクトリー (2016年6月18日発売)
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映画公開前からずっと興味を持っていたが、まさかこんなに大ヒットするとはと、そのパワーに気圧され気味だった。ようやく先日映画を観に行き、予想以上の美しく切ない世界観にすっかり魅了された。ただ、一度見ただけでは理解しにくかった部分もいくつかあり。あらかじめ張り巡らされていた伏線を活字で確認したいと思い、文庫版も手に取ってみた。
監督自ら執筆した原作小説だから世界観はそのままに、あの感動を追体験することができた。展開は分かっているにもかかわらず、夢中で一気に読了。
男女の入れ替わり、地方の美しい風景を存分に生かした描写、というと、世代的に大林宣彦作品を彷彿とさせられるが、個人的には「君の名は。」の方が好みかな。中盤の、彗星による自然災害の場面は、3.11を思い出してキツイなという面もあったけど、そこからのクライマックスへの流れは、泣けてしょうがない。多くの人がそうしたように、私もRADWIMPSを聴きながら活字を追いました。
何より、文庫版を読んでよかったと思ったのは、新海氏によるあとがきだ。「この物語はもちろんファンタジーだけれど、でもどこかに、彼らと似たような経験、似たような想いを抱える人がいると思うのだ。大切な人を失い、それでももがくのだと心に決めた人。未だ出逢えぬ何かに、いつか絶対に出逢うはずだと信じて手を伸ばし続けている人。そしてそういう想いは、映画の華やかさとは別の切実さで語られる必要があると感じているから、僕はこの本を書いたのだと思う。」
この言葉が、深く深く心に響き、また涙が出そうになった。新海氏のそんな想いが届いているから、2016年の文庫売上1位を獲得したのだと思う。是非、映画と対で読んで欲しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 夏休みの本
感想投稿日 : 2017年1月14日
読了日 : 2017年1月14日
本棚登録日 : 2017年1月8日

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