時は平安時代、凛々しく賢い若君(実は女性)の春風、慎ましく美しい姫君(実は男性)の秋月。それぞれ男装・女装して宮中デビューするが…。
入れ替わりものにつきものな、ドタバタコメディ展開かと思いきや、そこまでベタではなかった。思ったより色っぽい流れにちょいちょいなるが、元が少年少女古典文学館の作品だから、「わかる人にはわかる」表現が上手い!ジェンダー問題がなかなかにリアルなので、平安が舞台の田辺オリジナル作品と錯覚しそうになる。が、実際には概ね原典に忠実とのことで、本当に驚き!!
軽快な語りで、するすると一気に読んだが、キャラ造型において軽く引っ掛かるところがないわけではない。そのモヤモヤが、田辺さんのあとがきを読んで腑に落ちた!!それがわかると、この作者はどんな思いでこの物語を紡いだのだろうと…また違った視点からこの作品を味わうことができそう。
里中満智子さんの解説も、大変読み応えあり。なるほどの嵐である。
そして、美しさにうっとりするカバー絵は、いのまたむつみさん。色遣いが素晴らしい。田辺さんの王朝もの、追っかけていこうと思っている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の作家
- 感想投稿日 : 2024年3月21日
- 読了日 : 2024年3月21日
- 本棚登録日 : 2024年3月21日
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