白い巨塔〈第5巻〉 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2002年11月20日発売)
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控訴審となった財前の誤診をめぐる裁判。
原告側弁護人・関口や、里見の努力によって、財前は窮地に…

控訴審に、学術会議選挙に、追われる財前に病魔の影が…

結局、財前がちゃんと診察していれば…ということなんだろうが。
本当にそうなんだろうか。
財前だからこそ、初期噴門癌を見つけて、手術することができたはずでないか。
佐々木庸平に死をもたらしたものは、財前だけによるものではないはずだ。

医者としてあるべき姿は、里見なのかもしれない。
が、財前のように教授がひとりひとりの患者にまで細かい目配りができるだろうか…
里見のようにすべての患者に同じように寄り添うことができるだろうか…

控訴審で原告側勝訴となるが、財前の言う様に、医師が訴えらることを恐れ、医学の進歩を阻むことになるかもしれない。

財前には最後まで戦って欲しかった気がする。
もう一度這い上がる財前を見たかった…

癌が不治の病と言われ、情報が少なかった昭和40年代に、50年以上たった今、読んでも違和感を感じない作品を書いた山崎豊子の取材力の凄まじさを感じる。

4巻、5巻は『続 白い巨塔』だったのか…
3巻までの社会的反響が大きすぎたことを受けての、続編だったのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年8月18日
読了日 : 2023年8月18日
本棚登録日 : 2023年8月18日

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