サラバ! (上)

著者 :
  • 小学館 (2014年10月29日発売)
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本棚登録 : 10282
感想 : 771
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直木賞作品である事よりも、サラバ!という題名に魅かれた。なぜカタカナなんだろう。なぜビックリマークが付いているんだろう。気になる。

圷(あくつ)歩は逆子で産まれた。産まれたのはテヘランで、家族は両親と破天荒な姉だった。
家族のそれぞれの考えや生き方が描かれていて、家族とはなんだろうと考えさせられる作品だった。
第1章は序章に過ぎない。圷家の人柄が歩の回想で叙述されている。この序章が今後の展開に重要な意味を持つのだ。

日本人の多くにとっては稀有なシチュエーションだが、その状況がこの作品の幅を広げている。
子どもの夢を打ち砕く子どもっぽい大人はタチが悪い。それが母である。暴れん坊の姉貴子とそれを見て育つ歩、父親と一緒の風呂の中でエジプト行きを告げられる。イランから帰国し次はエジプトでの生活だ。エジプトもイスラム教が9割を占め、国民性は細かい事を気にしない。日本では今話題の夫婦別姓だ。
平穏そうな圷家に不穏な出来事が起こる。歩は卵絡みでヤコブと出会う。

エジプトでの圷家のゆくすえは、どうなるのか?
現地でできた友人のヤコブとの関係はどうなっていくのか?そして「サラバ!」の意味が最後にわかる。
ひとつひとつの出来事が、意味を持っていて繋がっている構成の良さを感じさせられた作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 西加奈子
感想投稿日 : 2023年2月22日
読了日 : 2023年2月22日
本棚登録日 : 2023年2月20日

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