スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2010年1月15日発売)
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本棚登録 : 18156
感想 : 1604
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いろんな伏線が回収されていって面白かった。
環の弟が訪ねてきた時に、加々美莉々亜の家族が訪ねてきたのかと思った、っていう描写があったから、環がカガミ姓でコーキの天使ちゃんなんだろうな、というのはピンと来たし、加々美莉々亜がやっぱり食わせ者の鼓動チカラだったか。最終章の、コウちゃんが天使ちゃんである高校生の環に好意を寄せていって、こっそり環を喜ばせることをしてあげているのがとてもよかった。大人になった環と再開した時に思わず発した「お久しぶりです」を、その後数十年根に持たれることになる、っていう説明だけで、その後環とコウちゃんは結婚したんだなと匂わせつつ、最後までそれを語らないのはなんというかエモい。この高額納税者、と狩野が言われているということは、実はダークウェルの作者は狩野だったんじゃないか、という伏線も張られつつ、明言はされないところも同じで良い。
コウちゃんも環も、お互いにお互いを本当に愛していて、陰で互いを必死に支えていたんだなぁ。その表に出ない感じが似ているのかも。
コウちゃんが環と初めて握手した時の、両手での握手、という小さな話が、真手・真体→福島の方言でまでい、丁寧なこと、までいライフ=スローライフ、でスロウハイツという題名にまで戻ってくるのも謎が解けるようで面白かった。ハイツはもちろん、ハイツ・オブ・オズのハイツなんだろうな。幸せな話だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月23日
読了日 : 2023年2月23日
本棚登録日 : 2022年8月6日

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コメント 1件

むぎさんのコメント
2023/06/26

成る程。理解できていないところができました!こちらのコメント、本の後ろの解説に載せてほしいです^^ ありがとうございました。

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