中村文則のデビュー作。デビュー作でこの気迫はすごい。
とある青年が拳銃を拾ってからの日常と心の変化をとことん描き尽くしている。
ただこの場合は普通が異常に変わっていくのではなくて、もともとこの青年の中に潜んでいた闇が、拳銃をみつけたことで惑わされ、魅せられ、支配されていくことではっきりと目覚めてしまったかのような感じを受けます。
「私」という一人称ですすんでいくのに、あくまでも第三者的なのが印象深い。
犯罪心理学のような側面としても極めて秀逸な小説だと思いました。
この小説における銃とは、自由と可能性のメタファーのようなものだと述べる解説も好き。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(国内)
- 感想投稿日 : 2017年5月28日
- 読了日 : 2017年5月28日
- 本棚登録日 : 2017年5月28日
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