なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか (講談社+α新書)

  • 講談社 (2020年7月22日発売)
3.24
  • (5)
  • (11)
  • (14)
  • (4)
  • (4)
本棚登録 : 136
感想 : 17
3

政治評論家の佐高信氏と新聞記者の望月衣塑子氏という、いわゆる左派論壇による対談を書籍化したもの。

年齢でいうと父と娘くらいの二人、佐高氏の昔語りに望月氏が絡むという形で話は展開する。

話に出てくる人が結構昔の記者や官僚だったりするので、不勉強な私にはwikiなしには読み進められなかったが、ある意味勉強にはなった。

佐高氏はやや口が悪く閉口するが、話自体は面白い。特に猥談好きなところなど俗っぽくて良い。

なお、この対談はおそらく2020年頃に行われたと思われ、ちょうどその頃は安倍政権末期の頃で、話の半分以上は安倍政権批判である。

安倍政権末期と言えば、森友・加計学園問題、桜を見る会に黒川元検察庁検事長の任期延長を目論んだ検察庁法改正案、さらにはコロナ渦でのアベノマスクの税金無駄遣いと特定企業との癒着など、まさに不正疑惑のデパート状態であり、突っ込みどころ満載であった。

よって、安倍政権に対する評価については全く異存はないものの、本書のタイトルである「なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか」についてはあまりたいしたことが書かれていない。

その理由らしきことが書いてあったのは、
「そもそも記者というものは歴史的に不良がなる職業なんだから。それが不良でない人がなるようになって、権力とメディアの関係がおかしくなってきた」、つまり記者がサラリーマン化してしまったことにある。

一方、共著者の望月氏は管現総理大臣に噛みつき、取材制限などを受けながらも伝統的な不良記者をやっているという流れなのだろう。

ただ、私が知りたかったのは、なぜ安倍政権ではそのような専横的なメディア規制ができたのか、また、それを改善するにはどうしたらよいのか、ということである。

日本は専制主義国家ではないのであるから、総理大臣といえども、簡単に自分に都合のいいように国を変える
ことなど出来ないと思うが、それらの点に論究していなかったのはやや肩透かし。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2021年5月15日
読了日 : 2021年5月15日
本棚登録日 : 2021年5月15日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする