順天堂大学医学部教授の医師による本。
著者は、「スクワットは究極の全身運動であり、最強の健康法である」という。
その理由は、しゃがむ動作を繰り返すスクワットは、歩く動作に欠かせない「大腿四頭筋」(太ももの前側)をはじめ、腸をリズミカルに収縮させて内容物を押し出す「腸の腹筋」や便が漏れるのを防ぐ「肛門括約筋」、尿漏れを防ぐ「骨盤底筋群」など全身の筋肉を鍛えることが可能だから。
また、スクワットによって鍛えられる下半身には、重力の影響で約70%の血液が集まっている。そのため、下半身の筋肉には、血液を心臓へ戻すポンプ機能が備わっている。
これにより、体の隅々までサラサラの血液がめぐり、認知症や心臓病・脳疾患・動脈硬化などを防止できるだけでなく、肩こりや冷え性などの改善にも役立つ。
ただし、血流がスムーズになるためには、内臓器官のすべて、特に血流をコントロールしている自律神経のバランス(自律神経と副交感神経のバランス)が整っていることが必要。
このバランスとは、シーソーのような取り方をしているわけではなく、交感神経が10のレベルで作用しているならば、副交感神経も10のレベルで働くことが理想的。
車で例えるならば、交感神経はアクセル、交感神経の働きが高まると、血管がキュッと収縮し、血圧が上昇、気分は高揚したりイライラしたり、テンションの高い状態に。
「火事場の馬鹿力」とは、交感神経が極度に高まった状態。
一方、副交感神経は、ブレーキのようなもの。
副交感神経の働きが高まると体はリラックスモードになり、心は穏やかになる。
この両者が高いレベルで整っていると、交感神経が血管を収縮させ、副交感神経が血管をゆるめるということが交互に起き、血管がリズミカルに脈打ち、血流がスムーズになるので、全身の細胞に酸素と栄養が行き渡り、調子が良くなる。
では、交感神経と副交感神経を高いレベルでバランスさせるにはどうすれば良いか。
まず、ストレス過多にある現代人は、交感神経が高いレベルにある。そのため、自律神経のバランスは、主に副交感神経が上下することでとられている。
つまり、副交感神経を高めることがポイントとなる。
そして、副交感神経を高める最大のポイントは呼吸。
副交感神経そのものをコントロールすることは出来ないが、副交感神経は呼吸とリンクしているので、深い呼吸をすることで、副交感神経を間接的に高めることができる。
その結果として、血流が良くなり、心身ともに調子が良くなる。
一方、人は加齢により、筋力低下、血流悪化、自律神経のバランスの乱れを来す。
これを防止または緩和するためには、運動することが必要。
では、どのような運動がよいか?
一見、ハードな運動をすれば効率が良さそうだが、若いうちならともかく、年齢を重ねると思わぬケガをしたり、アドレナリンが分泌されて交感神経が異常に高まるなどデメリットの方が大きくなる危険性がある。
そこで、これらの問題を解決するのが十分な呼吸をしながら行うスクワットである。
最後にスクワットの10の心得を記す。
①毎日、毎晩行う
②ゆっくり行う
③ひざを90度より深く曲げない
④意識を太ももに集中させる
⑤腰を曲げない
⑥腰を下ろすときに息を吐き、上げるときに生きを吸う
⑦食前に行う
⑧入浴前に行う
⑨ゆったりした衣服で行う
⑩痛みを感じたらすぐに中断
- 感想投稿日 : 2022年1月17日
- 読了日 : 2022年1月17日
- 本棚登録日 : 2022年1月17日
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