とても良い作品。
何と言うべきか。地味なのに、刺激の強い読書。
人それぞれ、乗り越えなければならない壁を目の前に狼狽する。壮大な他人事であるようで、自分のすぐ傍で起こっている出来事。距離感が絶妙すぎる。
劣等感や寂しさ、立ち直る強さが巧みに描かれている。ファンタジーとして括ってしまうには、妙なリアリティがあり、思春期に生きる繊細な若者の感情に、読者として心が搔き乱される。
登場人物たちの話し言葉や掛け合いが、どうしても私の苦手な類だったのが、少しだけ残念だった。
以下、ネタばれ有り。(備忘録)
主人公は実加。聡明な姉を持つ少女。
あくまで実加視点であるが、それぞれの人物がそれぞれの人生を歩んでいることを、突きつけられ動揺してしまう。私は何を思う。
実加は、事故で姉を亡くし、家族は失意の日々を送る。ある時、実加の中に姉が存在していることがわかった。守護霊みたいなものだろうか。様々な場面を二人で乗り越えていく。小さな幸せや、家族が元気を取り戻す様子、友人に起こる不幸に向き合い、支え合い、姉の助言を求め、前に進む。母の弱さ、父の弱さを目の当たりにした。
最後に自暴自棄になりかけた。実加自身が本当に乗り越えるべき壁に向き合った瞬間であった。
なんとも晴れない気持ちも相まって、読了後に妙に物思いにふけってしまう。
良い読書だった。
読了。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年6月16日
- 読了日 : 2021年6月16日
- 本棚登録日 : 2020年11月1日
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コメント 2件
kuma0504さんのコメント
2021/06/16
ツカチヨさんのコメント
2021/06/17