光と闇の戦へと運命的に巻き込まれていく少女のお話。
最近よく思うのは、この手の児童文学と呼ばれる作品の、どこが児童向けなのかと純粋に疑問が生じる。しかしながら、他に理由が見当たらないから仕方がない。私が10歳の心を持つ純真で、清い人間だということで十分に納得した。
読み慣れない言葉が多い分、時間をかけて読了。
複雑な伏線などは無いが、読了後しばらく考え耽ってみると、想像以上に難解な世界観だな、と感じた。登場人物は十分に魅力的で、物語に深みを与えている。
主人公の少女はどこまでも純粋で、身勝手とも思える衝動的な部分も見える。
それも一つ、抗いきれない運命の為だろうか。
輝(かぐ)の王と、闇(くら)の王が存在し、勢力は二分されていた。
かつて世界を創造した神々が天と地に隔たり、その子孫による覇権闘争の末期を描いている。
死という概念が、大きなテーマであると容易に気づく。
死を受け入れ、世代を超えてきた闇の一族と、死を持たぬ王に支配された国。
それぞれの王の思惑が交錯していた。少女は戦いを鎮め、この世界と愛すべき人々を守ることに命を懸けてゆく。
一つ一つの選択が、残酷にも天秤に掛けられたように世界の行く末を左右した。
そしてクライマックスは美しく、読者として救われた。
読了。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年8月25日
- 読了日 : 2020年8月25日
- 本棚登録日 : 2020年8月3日
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