プラ・バロック (光文社文庫 ゆ 5-1)

著者 :
  • 光文社 (2011年3月10日発売)
3.20
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本棚登録 : 1417
感想 : 190
3

ネット上の仮想空間と現実世界をリンクさせたミステリー小説。始まりからグイっと惹きつけられる展開だ。

苦言を呈すならば、主要な人物についてはもっと丁寧に書かれるべきではないか、と感じた。
作者の意図も併せて考えるべきなのだが、私にとっては情報があまりにも少なすぎたようだ。
最初から途中まで出てくる登場人物はそれぞれフワッと存在感が無くなってゆく。読者としては、もっと掘り下げて書いてほしい人物像も、終わってみればかなり不明瞭であったことに気付く。何となく、誰でも良かった感があるのが残念。
主人公の性格も、ちょっと掴みどころのない印象で、明確な人物像を描くには至らなかった。

3Dデータ云々もちょっと印象が弱すぎない?せっかくおもしろそうなのに。もっと強烈な必要性を示してほしかった。犯人の目的と執着心にいまいちカチッと嵌らないというのが本音。

とは言え、物語の要所と言える箇所はおもしろく読めるし、仮想空間とリンクする設定も良い。
もう一度読む機会があれば、再評価したい作品だ。

以下ネタバレ要素有り

主人公はクロハ。女性警官である。
頸動脈を切られて殺害された遺体が見つかり、クロハは一連の大事件へと足を踏み入れてゆく。
その後、海上輸送コンテナを利用した貸倉庫群から多数の遺体が発見されることで物語は大きく動き出す。

タカハシという人物の復讐劇に巻き込まれていくというのがストーリーの概要であるようだが、それに読者が気付くのは後半に差し掛かってから。

ラスト、犯人はタカハシによって殺されているだろう展開へ。復習を遂げたタカハシは仮想空間でクロハに別れを告げ消えた。

文庫版297P
【大柄で作業着の男】とエレベーターですれ違っている。これって『鼓動』だったのかな。伏線なのかな?
どこで回収されたかはわからないので勘違いか。

読了。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月29日
読了日 : 2020年10月29日
本棚登録日 : 2020年5月23日

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