坂口安吾が書いたミステリー小説。山奥の豪邸に複数の男女が集まり、面子はどいつもこいつも変人ばかり。あっちとこっちがくっついて、こっちとあっちがかつての恋人で、惚れた腫れたの大不倫祭り。ようみんな集まってくれはったな~。さあパーティーの始まりですよ~。
集まった大人たち「ΩΩΩ<わーい!」
そして惨劇のショーは幕を開けるのだった……。
いやにしても登場人物が多い。多いだけならいいんだけどそれぞれが絡み合うように繋がっている上、最初の方でドドっと紹介されるので何がなにやら。読み進めていくとクセが強い性格が分かってくるのだけど、のんびりしてるとひとりまたひとりとテンポよくぬっ殺されていくので、情緒がまったく追いつかない。なんていうか全体的にテンポが良すぎて劇画っぽいです。妙に軽いというかなんというか。軽いのに人物は入り乱れていて、「読みやすいのに、ごちゃごちゃしていてわかりづらい」という不思議な体裁になっています。
真相はかなり論理的に、それでいて明かされてみれば単純明快。本格ミステリが好きな人に愛好されてるのもわかるなあ。でも探偵が自分の落ち度を話す場面では「いや、さすがにそれはねーよ!犯人わかってるんなら放置すんなよ!」と思いました。犯人を泳がせて、結果的に死人が増えるって展開ミステリー小説を読んでるとまあまあ見かけますが、殺人幇助罪にならんの?それ。
あと、なんでしょう、坂口安吾の他の作品も読んでいるので感じることですが、意図的に作中で登場する人物たちの命が「軽く」扱われている気がします。時代背景とか関係なく。そこら辺で好みが分かれるんじゃないかな、この小説。個人的にはミステリー小説としては好きな部類ですが、”坂口安吾作品”としてはさほど刺さらなかったな。今のところ坂口安吾に求めているのは、もっと異常なくらい美しく研ぎ澄まされた「文章」なので。
- 感想投稿日 : 2024年2月27日
- 読了日 : 2024年2月27日
- 本棚登録日 : 2024年2月27日
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