今巻はこれまでのシリーズを読んできたファンにとっては総括みたいなお話。いわば『魔性の子』の裏でどんなことが起きていたのかを、十二国記側から描いたお話で、これまで出てきた主要なキャラがたくさん登場します。「みんなで協力して泰麒を救おう!」という流れや、陽子がたどり着く「自らを救うのは自分自身なのだ」という主題に関わる真理も前向きで良いです。ただ、読んででいてなんとなく「天」という存在が物語にとって"都合よく、都合の悪い状況を作り出す装置"に見えてしまいちょっともやもや。あと泰麒に対してみんな優しすぎる、というか他のキャラに比べてやたら待遇いいのが気になりました。んー、なんだか話を駆動させるために作られた状況やルールが、物語に「固さ」を生んでるというか……。シリーズ全体からすると『図南の翼』あたりまでがとてもとても面白かったのであえて苦言を呈します。もしかして読み込みが甘く的外れなことを言ってるだけかもしれないですし、まだ驍宗のことが片付いていないので、次巻で私が感じている違和感が解消されることを期待します。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年8月20日
- 読了日 : 2023年8月20日
- 本棚登録日 : 2023年8月20日
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