目次
・桂男
・遺言幽霊 水乞幽霊
・鍛冶が嬶(かか)
・夜楽屋(よるのがくや)
・溝出(みぞいだし)
・豆狸
・野狐
小股潜りの又市の朋輩、靄船の林蔵が通しの主人公。
舞台は大坂。
愛する女のために成す非道に気付かぬ業、自らの行った罪をすっかり忘れてしまえる無情。
それが怖くて。恐ろしくて。
又市と林蔵の一番の違いは、終わった後の態度。
又市は、事件に関わ多人のその後を最後まで気に掛けるが、林蔵は、終わった後のことを気にしない。
それは若かりし頃、又市に思いを寄せつつ林蔵と付き合うことになり命を喪ったおちかに対する態度の違いでわかっていたことだ。
自分の命を守るため江戸から逃げた林蔵と、命を賭けて江戸にとどまった又市。
所詮妖の話なので、結末がもやもやしようとかまわない。
話として矛盾がなければ、それもひとつの作品のあり方だとは思う。
ただ、私は又市のような、ひょうひょうとしていながら無情ではない、そういう人が好きなのだ。
だから最後の事件、又市と林蔵がタッグを組んだ大仕掛けは、満足をさせてもらった。
やはり私は又市が好きなのだ。
「豆狸」はハッピーエンドだったけれども、ここで終わっていたらやはり物足りなく感じていたのではないかと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年12月19日
- 読了日 : 2020年12月19日
- 本棚登録日 : 2020年12月19日
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