ローマ人の物語 (23) 危機と克服(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2005年9月28日発売)
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皇帝ネロの暗殺後に次々と皇帝が現れ消えていった1年を経て、ようやくヴェスパシアヌスの元、再び落ち着きを取り戻した。
皇帝の仕事をこなしつつ、ヴェスパシアヌスは帝位の安定についても法的根拠を定めたのである。

そしてスムーズにヴェスパシアヌスからその長男ティトゥスへと帝位が移る。
ティトゥスはヴェスパシアヌスとともに共同統治をしていたため、日常の政に支障はなかったが、その統治期間に帝国は次々に災害に襲われたのだ。
有能で誠実で経験豊富ときたら最強の皇帝だが、たった2年で彼は病死してしまい、その後を継いだのは11歳年下の弟であるドミティアヌス、30歳だった。

弟のドミティアヌスも有能だし仕事に対して誠実ではあったが、たたき上げの軍人だった父や兄と違い、気がつくと皇位継承者として育てられたドミティアヌスは、強権的であり、元老院を敵に回してしまう。
有能だから誰からも文句を言われないが、言えない不満は積もっていく。
そして暗殺の引き金を引いたのは、まさかの愛妻だった。

ちょっと独りよがりだったのかもしれない。
強権的だったかもしれない。
若さゆえの傲慢さがあったかもしれない。
でも、「記録抹殺刑」って程の何をした?
ただ、元老院のメンツをつぶしただけなのに。
だからこそ、感情的な報復を元老院から受けてしまった。死んだ後に。
なんというかドラマティックだなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年2月11日
読了日 : 2021年2月11日
本棚登録日 : 2021年2月11日

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