ぶたぶた洋菓子店 (光文社文庫 や 24-13)

著者 :
  • 光文社 (2013年7月10日発売)
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目次
・森の洋菓子店
・最初にやりたかったこと
・メッセージ
・帰ってきた夏
・たからもの

短編集になっていますが、森の中の洋菓子店「コション」のパティシエ(ご存知ぶたぶたさん)をめぐる話で、最初と最後は高校生対象のスイーツコンペに出場する3人の男子高校生の話です。

なぜパティシエは姿を見せないのか。
それは、パティシエの見た目で人気が出るのではなく、味で勝負したかったから。
だけど、自分の作ったスイーツを「おいしい」と喜んで食べてくれる人の顔、見たいよね。
大好きなスイーツの話を一緒にして盛り上がりたいよね。

そんなタイミングで、「コション」の車を自転車で尾行して、「コション」のアトリエ(キッチンや食材の保管庫など)を見つけた高校3年生に「スイーツ作成の師匠になってくれ」と頼まれます。
少しずつ、少しずつ姿を現わしはじめるぶたぶたさん。
彼を守るために一致団結する店員たち。(過保護だな)

このシリーズはもしかして20~30代の女性をターゲットにしているのかな。
結婚をめぐる話が2つ。

結婚に関わることを相談しても、全て彼女に丸投げの祥一。
彼女が喜ぶことならなんでもかなえてやりたいと思っている。
だから、挙式一週間前に彼女から「考えさせて」と言われて心底驚く。
おれの何が不満なの?「メッセージ」
式場も、ドレスも、料理も、新婚旅行も、新居も、全部彼女のいいようにさせてあげたじゃん!
こーゆー男性、いますね、確かに。
女性は共感し、男性は戸惑う作品かもしれません。
でも今はこーゆー人減っていると思いたいです。

東京で就職して、頑張って出世して、そのせいでいじめにあって職場をやめて実家に戻ってきた倫子。
就職しなくちゃと思うけど、体が言うことを聞かない。
フラッシュバックってやつ?
そんなとき、東京で飲み友達だった到が倫子の田舎に転勤してくる。「帰ってきた夏」
岡目八目と言いましょうか、倫子以外には到の行動の意味などバレバレなわけです。
っていうか、結構あからさまに意思表示しているのに倫子は鈍い。
「メッセージ」の祥一と倫子なら一生結婚できないな。

「たからもの」では、ふしぎちゃんなぶたぶた家次女が大活躍。
どんな人にも活躍の場があるのがこのシリーズのいいところ。
あとがきで札幌のスイーツ店が3件紹介してあったのですが、このうち2件は今は閉店してしまっているようです。
時の流れは厳しいなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年11月7日
読了日 : 2022年11月7日
本棚登録日 : 2022年11月7日

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