晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編)) (創元推理文庫) (創元推理文庫 M お 5-2 成風堂書店事件メモ 出張編)
- 東京創元社 (2009年11月10日発売)
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長野にある老舗書店の幽霊騒動の謎を解くため、東京にある成風堂書店の杏子とバイトの多絵が出張する。
ってか、休暇だけどさ。
事件そのものの謎や推理やその結末に文句はないんだけど、設定にもやもやしてしまう。
「うちの店に幽霊が出たの。それはどうも27年前の解決済み殺人事件に関係がありそうなの。だから謎解きに来て。2泊はうちに泊まってもらって、残り一泊は温泉に泊まるようにするから」っていうのは、随分と自分勝手な要求と思うのだ。
だって、3泊4日の長野行なら、社員は有給を取るとしても、バイトの多絵は無給の上に諸経費自腹?
なんかいろいろリアリティがない。
でも、本屋の幽霊はさておき、作家殺人事件については、作家の業と向き合える人だけが作家になるのかなあ、なんて思いましたよ。
人としてよりも作家として生きざるを得ないものなの?
小手先の文章の上手さだけで作家になれないのはもちろん理解しているけれど、あとは何があればいいんだろう。
上手く利用されながら才能を褒められなかった彼と、才能を認められながら褒められることのなかった彼。
そんな葛藤など知らん顔をして、読者は作品を楽しむのである。
無情だなあ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年2月9日
- 読了日 : 2021年2月9日
- 本棚登録日 : 2021年2月9日
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