デビュー作でファンになり、以来小説とエッセイはすべて読んできたけれど常に期待を裏切られてきた感があり、ついに前々作をもって今後は読まないと決意するに至った。
が、そこはやはり過去に好きだった人(笑)
未練がましく今回も読んでしまった...(前作も...)
結果、ついに報われたと感じる作品に出会った。
20余年、長かった!
著者が好んで用いて来たスウィートな言い回し---例えば「心臓、パタパタ」---を読むのがいつからか非常に辛くなっていたし、それらを抑えた少し"大人っぽい"小説は残念ながら単純におもしろくなかったし印象にも残らなかった。
しかし今回は、こちらもきちんと正座をして対峙できるような文章だったことがひとつ。描写も細かく無理がなく、安心して読めるものだった。
そしてなんといっても内容が濃かった。プロットが良かった。重い史実を交えながら、こういうものが描けるんだ、と、非常に嬉しい驚きをもらった。
小説自体の内容は非常に重い。
戦後70年の節目にして二度と戦争を起こしてはならないという決意を秘めたものであり、同時にどんな時であっても美しいこと楽しいこと愛することを大切にしながら人生を生き抜かねばという希望にも満ちている。
ああ、ぜひまたこんな作品を描いてください。私はきっとまた野中さんを追ってしまうでしょう(笑)
★4つかなと思ったけれど、嬉しさと期待を込めて5つ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年8月29日
- 読了日 : 2015年8月29日
- 本棚登録日 : 2015年7月26日
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