悪霊島(下) 金田一耕助ファイル19 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (1981年5月15日発売)
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「横溝正史」の最後の長篇推理小説『悪霊島』を読みました。

「横溝正史」作品は2008年9月に読んだ『本陣殺人事件』以来ですね。

-----story-------------
昭和42年。
「金田一耕助」は、瀬戸内海に浮かぶ刑部(おさかべ)島に再開発計画を持ち込んでいる島出身の億万長者「越智竜平」の依頼により人捜しをするため、島がある岡山県にやって来ていた。
しかし捜していた男は、海で瀕死の状態となって発見される。
「金田一」は友人である岡山県警の「磯川警部」から、男の最期の言葉を録音したテープを聴かされる。
そこには「あの島には恐ろしい悪霊が取り憑いている…腰と腰がくっついた双子…?の鳴く夜は気をつけろ……」という不気味なダイイング・メッセージが録音されていた……
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舞台となっている刑部(おさかべ)島は、岡山の水島沖にある島で、水島の他、倉敷や玉島、児島、井原、下津井、鷲羽山等も舞台となるし、登場人物が岡山弁を話しているので、場所が容易に想像でき、入り易い作品でした。

それにも関わらず、読んでいて、なんだか疲労感を感じる作品だったのも事実。


閉鎖された空間(本作品は島)での濃密な人間関係、

快楽を求めるが故のドロドロとした愛憎関係、

猟奇的な殺人事件、

戦中戦後のどさくさによる混乱、

等々、「横溝正史」作品の定番テーマが盛りだくさんというほど盛り込んである作品なのに、、、

なんでかなぁ… 推理要素が稀有だったことや、島の自然(洞穴や崖、谷等)や事件の背景が作り物っぽくてリアリティがないこと、それにドロドロした愛憎関係が濃すぎて、ちょっと嫌悪感を感じたのが原因かな。


映画では、シナリオが端折ってあったせいか、そこまでイヤな感じはしなかったんですけどね。


ということで、上下巻で700ページ近い作品でしたが、読後の充実感がなかったなぁ。残念。

「金田一耕助」シリーズの最後を飾る作品としては、ちょっと淋しかったですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>ミステリ(国内)
感想投稿日 : 2022年4月19日
読了日 : 2011年1月14日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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