「沢木耕太郎」のエッセイ『チェーン・スモーキング』を読みました。
『バーボン・ストリート』に続いて、「沢木耕太郎」エッセイ集です。
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古書店で手にした一冊の本に書き込まれていた言葉。
公衆電話で演じられた人生の一場。
深夜にタクシー・ドライバーと交わした奇妙な会話。
…エピソードの断片はさらなるエピソードを呼び寄せ、あたかもチェーン・スモークのように連鎖しながらひとつの世界を形づくる―。
同時代人への濃やかな共感とともに都会の息遣いを伝え、極上の短篇小説を思わせる味わいのエッセイ15篇。
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「沢木耕太郎」と年代は少し異なりますが、不思議と共感できる部分が多く、とても読みやすいんですよね。
以下の15篇が収録されています。
■鳥でもなく魚でもなく
■逆転、逆転、また逆転
■老いすぎて
■タクシー・ドライバー 東京篇
■君だけが知っている
■わたしに似た人
■メランコリーの妙薬
■走らない男
■アフリカ大使館を探せ
■赤や緑や青や黄や
■ナセルとマリリン
■信じられない
■消えた言葉
■シナイの国からの亡命者
■懐かしむには早すぎる
ひとつのエッセイの中で、彼方此方と色んなところに話題が飛ぶのですが、それでも起承転結がしっかりしているのか、最後には話がまとまっている… そんな作品群で愉しめるエッセイ集でしたね。
印象に残っている内容と感想を書き留めておきます。
『鳥でもなく魚でもなく』
空から墜ちる夢なら見るけど、飛ぶ夢も泳ぐ夢も見ないので、オレも祖先はサルなのかなぁ。
『君だけが知っている』
小説の題字とか献辞って、あまり気にしたことなかったけど、読者ではなく、他の人に捧げられてるって、良く考えると変な感じがしますね。
そういえば「アガサ・クリスティ」の作品も、献辞が書いてあることが多いような気がする。
今度、注意して読んでみよう。
『アフリカ大使館を探せ』
思い込み、勘違いってありますよね。
唱歌"赤い靴"の「異人さんに連れられて~」って、幼少の頃は『良い(いい)爺さんに連れられて~』と全く同じ勘違いをしてました。
でも、アフリカ大使館はないよなぁ。
このエッセイには「向田邦子」と一緒に飲んだことも紹介されているのですが、、、
その際に「沢木耕太郎」が結局最後まで切り出すことのできなかった、『阿修羅のごとく』でのワンシーンでの疑問点、
~ 四女「咲子」が同棲中のボクサー「陣内」のロードワーク後にボロアパートの流しでジョーロでお湯をかけて頭を洗うシーン ~
そう言われれば不自然な感じがしますね。
二度と確認することはできませんが、もし「向田邦子」に天国で会うことができたら尋ねてみたいな。
『赤や緑や青や黄や』
タイトルからは想像できなかったのですが、読み終わったあと、公衆電話の色だとわかり納得。
携帯電話の普及で街中から急速に減っている公衆電話ですが、若い頃は随分お世話になったなぁ。
懐かしく読みました。
- 感想投稿日 : 2022年4月14日
- 読了日 : 2010年4月6日
- 本棚登録日 : 2022年3月11日
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