河童が覗いたトイレまんだら (文春文庫 せ 4-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (1996年12月10日発売)
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「妹尾河童」のエッセイ集『河童が覗いたトイレまんだら』を読みました。

先日読んだ「今井通子」のトイレに関するエッセイ『マッターホルンの空中トイレ』に続きトイレネタです。

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森羅万象を覗きまくる男「妹尾河童」が、ついにヨソ様のトイレまでも!
各界で活躍する52人の家のトイレが、あの河童流俯瞰図とインタビューによって、白日の下に晒される。
「田原総一朗」氏の便器の蓋への執着、「佐藤陽子」氏のライオン便器、「佐野洋」氏の張り出し空中トイレ等、一度読んだら忘れられない空前絶後のトイレまんだら。
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「妹尾河童」が52人にも及ぶ著名人の自宅を訪ね、トイレを取材して、独特の俯瞰図とともにエッセイ風にまとめた作品で、1989年3月から1990年4月の間、『週間文春』で発表された作品がまとめられています。

印象に残ったトイレは、

■「椎名誠」邸と「C・W・ニコル」邸の木の便座

■「佐藤陽子」邸のライオントイレ

ですかねぇ。

ホント、あの独特の俯瞰図で見るトイレって、妙に印象に残りますよね。



でも、トイレそのものだけでなく、トイレを取材することを通じて、人それぞれのトイレ感というか… トイレだけでなく、排泄に関わる価値観や経験(体験談、失敗談)が明らかになることの方が興味深かったですねぇ。

体験談では、

■「山村レイコ(旧 三好礼子)」が経験したアフリカ マリの共同トイレ

■「阿川佐和子」が経験したエチオピア山中のトイレ

あたりが印象に残りましたねぇ。


これだけ自然にトイレや排泄のことを聞き出してしまう「妹尾河童」って、ある意味、凄いなぁ… と思いました。



著名人のトイレだけでなく、番外編として収録されている、

■洋の東西 昔の便所

■昔の便所はこうだった

■宇宙船のトイレ

■アジア各国のトイレ

■厠からトイレへ

も興味深く読みました。

古代ローマ時代(紀元前500年頃)のローマには既に水洗の公衆トイレがあったというのに、その後、ゲルマン民族がヨーロッパに進出してからは、トイレ文化が後退して、糞尿を家の窓から道にぶちまける時代が続いたというのも、不思議な歴史ですよねぇ。

トイレに関する歴史や文化、価値観って、本当に多様ですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>エッセイ/コラム/旅行記/私小説
感想投稿日 : 2022年5月19日
読了日 : 2012年9月25日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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